p_Another2. だって、わからへん ページ22
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「…にしても珍しいなあ。お母さんによく似て、あんたは健康優良児で、風邪も年に1回ひくかひかへんかやのに」
ただの貧血で良かったわ。とお母さんは布団をウチの首元までかけた。
数学の授業中に倒れたウチは保健室に運び込まれ、担任が在宅していた母に連絡し、早退。家に連れ帰られたのだ。
「…なんか最近元気ないみたいやし。何があったんかは無理に聞かんけど、まあええ機会や。しばらくはゆっくりしとき」
「…うん」
そう言ってお母さんは部屋を出て行く。パタン、とドアが閉まると、部屋は静寂に包まれた。
静かになると、やっぱりいろいろなことが頭の中をぐるぐると駆け巡る。それは部活のこととか、嫌がらせのこととか――赤司のこととか。
頭が痛い、気持ち悪い。おかしい、自分はこんなにもメンタル弱かったっけ?枕がじんわりとぬれ、鼻をすする音が部屋に響く。
「っう〜…、ひ、っく」
…最低や。赤司が悪いわけちゃうのに、八つ当たりした。
けど、アイツの責める言い方に耐えられへんかったのも事実で。
どうすれば良かったんやろ。なんでこうなったんやろ。考えても考えても答えなんか1個も浮かばんくて、また涙が溢れる。
赤司と喧嘩したままになるんやろか?このままずっと、いつもみたいにアイツが余計なことしてウチが切れて、っていうあの感じが、なくなっちゃうんかな。
「…そんなん、いやや…なあ…」
ムカツクけどあれはあれで楽しかったし、あの人外レベルの天才野郎にも人間らしいところがあるって少しだけ知れるから、何気に好きやったのに――
枕に顔を埋めて、布団を頭までかぶる。すると嗚咽とすする音だけだった部屋の中に、『ピンポーン』とインターホンの軽快な音が聞こえた。
母がいるから自分が出る必要はない。考えるのも面倒になってきて、もう寝てしまおうかと思っていたら、不意に扉の向こうから声をかけられた。
「――A、ちょっと出てこれる?」
「…なんで?」
「あんたにお客さん。同じ高校の、赤司君って子なんやけど…」
「え――」
…赤司が?
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p21. 俺氏、ヘタレ野郎に物申す 2/4→←p20. 俺氏、ヘタレ野郎に物申す 1/4
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かばん - 番外編の『ナニは入ってません』でクソワロタンバリンシャンシャンw (2019年7月1日 18時) (レス) id: bbcce8e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 更新プリーズ (2019年6月4日 19時) (レス) id: f750d8e997 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - めっちゃ面白いです!笑いが止まりません!続き楽しみにしてます! (2019年3月22日 21時) (レス) id: a6be0e3a0d (このIDを非表示/違反報告)
松村ユノ(プロフ) - 赤司のキャラ崩壊っていつ見ても笑い疲れる() (2018年5月6日 15時) (レス) id: 645b0b4b0b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - チート赤司様があわててるとこがギャップでかわああですね (2018年4月2日 17時) (レス) id: 4b5f57253f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縁樹 | 作成日時:2014年12月5日 19時