【黒バス】後輩共が面白いから観察してみようと思う by黛【赤司征十郎】

p16. 赤司にﾜﾝﾁｬﾝある可能性が微レ存…？ ページ16

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赤司はモテる。老若男女問わず、ヤツの周りの人間は殆どと言っていいほど、ヤツを慕う。

例外は恐らく奴の実の父親と大槻ぐらいだろう。あと俺。

大槻が赤司を嫌うのは、他の女子に比べて扱いが明らかに違うからだ。その他大勢の女子(に限らずバスケ部員以外には)紳士的な振る舞いをするのだが、大槻に対しては、まあ言わずもがな。

デリカシーに欠ける発言や小馬鹿にした態度、etc… 嫌うなと言う方が無理あるだろこれ。

ヤツのわっかりにくい愛情表現のおかげで、大槻の好感度メーターは下降するばかり。ギャルゲーならめでたく最低ランクでゲームオーバー。BAD END待ったなしだ。

とまあ傍から見れば犬猿の仲なのかもしれないが、それでも彼女が赤司の近くにいるのが気に喰わない連中がいるようだ。(実は赤司が近付きに行っているのだが)

俺も何度かは見かけたことがある、所謂ファン――しかも熱狂的な、盲目タイプの厄介な連中だ。大槻はどうやら赤司の熱烈なファンに粘着されているらしい、というのを昨日知った。


大槻は1年ながらに1軍のマネージャーを勤めているため、朝は誰よりも早く登校している。

昨日、俺は日直だったんで朝練が始まる前に仕事を終わらせようと早めに学校へ行った所、昇降口で自身の靴箱を凝視している大槻を見つけ、俺は持ち前の影の薄さでそっと大槻の背後に回り、後ろから彼女の手元を盗み見た。

そこには聞くに堪えない罵詈雑言が書き殴られた上履きがあった。

思わず「酷いな」と呟けば、大槻は大げさすぎるほどに驚き、そこで漸く俺の存在に気付いた。



「嫌がらせか？どうせ赤司ファンだろ」

「まだそうと決まった訳ちゃいますけどね」

「言わないのか？」

「なんで言う必要あるんですか？」

「ヤツに言えばすぐ治まるだろ。ていうかアイツのファンなんだから始末くらいさせとけよ」



俺が溜息を吐いてそう言えば、大槻も「せやなあ」と溜息をひとつ吐いて言った。



「けど、アイツが悪いわけじゃないです。ムカつく野郎やけど、アイツ、それなりにプレッシャーとかあるやろうし、その分しんどいはずやと思うんです。これ以上仕事を増やして余計しんどい思いさせるんは不本意やわ」



「あ、あくまでマネージャーとしてですけど！」と付け加えていたが、大槻は赤司に意地悪をされていても、ヤツの身を案じるほどには見ているらしい。俺は大槻の心の広さに心底驚いた。


良かったな赤司。お前思ったより嫌われてないぞ。


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