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佰拾肆 ページ14

「なぜこんなにも私だけが心乱されなければならない?」

胸元のリボンが簡単に解かれる。

「A」
「無惨さん?」
「黒死牟と距離が近いのは好ましくない」

無惨さんはネクタイを私の両手首に強く結ぶ。

「私のAだろう?私だけのAだろう?」
「い…はいっ!そしたら無惨さんは私だけの無惨さんになりますか?」
「あぁ、Aのものだ」
「えへへ…私のものですか?」

無惨さんは目を細めて笑う。

「何度言えば分かる?」
「いっぱい言って欲しいです」
「いっぱい?どれぐらい?」
「いっぱい、いっぱいです!たくさーん!毎日!」
「欲張りな奴だ」

優しく耳元で囁かれる。

「欲張りは嫌いですか……?」
「嫌いじゃない」

「えへへ……うふふ……」

溢れる喜びが押さえられない。
顔を隠す事も出来ずに、緩みっぱなしの顔は赤い瞳にしっかりと映される。

「こんな状態でよく笑えるものだ」

トンっと額をつつかれる。

「無惨さんが大好きですから」
「好きなら易々と他の者に自身を触れさせない。黒死牟、猗窩座他にも……人間にもだ」


その瞬間、私は目を開き、体が固まる。

「む、無惨さん!」

ふくらはぎ…次に太ももに違和感がある。
そして、それはゾワゾワして、くすぐったくて、心臓も煩く鳴り響く。


「なんだ、どうした?」

無惨さんはニコリと微笑む。
無惨さんは知らないふりをする。それが何とも。

もちろん私は手が縛られている為抵抗出来ない。
逃げようとしてもしっかりと無惨さんが私を押さえてて動けない。



「っ…無惨さん」

名前を呼ぶだけで精一杯だ。
胸がドキドキ煩く鳴り響く。止まらない。
顔が熱くなる。

以前足を噛まれたあの時とまた違う。
今回は、なんか違う。


「っ無惨さん」

だんだんと手が上へと上がる。目の前がクラクラし始める。
心臓は飛び出してしまうのではないかと思う程激しく鳴る。


「おや、A。もうダメかい?」

ブンブンと頭を縦に振る。

「残念だ。私の全てをAに注ぎ込みたかったのだが」
「えっ?」
「確かに今のAには難しそうだ」

そっと頬に手を当てられる。
ひんやりしていて気持ちよかった。

「今日はこれだけ」

ふわりと顔を近付けられ、唇が軽く触れる。


「おしまい」

無惨さんはするりとネクタイを解き、私を解放した。

「あぁ…A」

開放されたかと思いきや、引き寄せられた。


「胸元のリボン」


無惨さんは丁寧に結び直してくれた。

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(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月4日 0時

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