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佰拾壱 ページ11

「わっ、わぁぁ!」
「Aちゃん、気に入ってくれた?」
「お星様がいっぱいっ!なにこれ?」
「金平糖っていうお菓子、甘くて美味しいらしいよ?」


和紙で包まれたものを開けると、桃色、水色、黄色、橙色…


「ありがとう、童磨さん!」
「とにかく食べてみておくれよ、ね?ね?」

童磨さんは一つ摘んで私の口の中に金平糖というものを入れた。


「ん〜!甘い!」

頬に手をあてて、余韻に浸っている私に童磨さんはニコリと笑う。



「あのお方には内緒だよ」
「えっ?どうして?」
「あのお方はAちゃんを独り占めしたいから」

童磨さんの長い指がそっと私の唇に触れる。


「分かった?」
「……うん!」

少し驚きながらも返事をすれば、スっと指が離れて童磨さんは明るく話し続ける。


「そういえばね〜Aちゃん」
「ん〜?」

金平糖を食べながら童磨さんを見る。

「最近鬼狩りがしつこくてねー?」

鬼狩りと聞いた瞬間ヒュッと背中が冷たくなる。

「しつこい?」
「そうそう、昨日の夜も俺達の仲間が殺されちゃったんだよ?」
「……そう、なんだ……」

どういう顔をしていいか分からない。
童磨さんは眉を下げてはいるが、口元は笑っている。

「Aちゃんは俺達の味方だよね?俺達は鬼だけど、Aちゃんだけは味方してくれるよね?」


ギュッと手を握られて、金平糖が何個か床に落ちる。
空いてる手で拾おうとすればその手も握られる。


「Aちゃん。ねっ?そーでしょ?」
「う、ん!もちろんだよ!私はずっと童磨さん達の味方!」

引きつってないだろうか。
童磨さんの瞳を上手く見れない。
目が合うのが何となく怖い。


童磨さんの口元は笑ってるのに、目が笑ってないからかも。



「そうだよね!Aちゃんが……まさか、鬼狩りの味方につくなんてそんなわけないよね」
「うん!」
「Aちゃんが、鬼狩りにつくんだったら、俺は悲しいよ!悲しくて食べたくなってしまうよ!」


ゾワッとした。
食べちゃう?

「Aちゃん、分かった?」
「っ!?」

顔が近い。童磨さんの鼻と私の鼻が触れてしまいそうなぐらい。
虹色の、上弦、弐の文字がよく見える。


あぁ、童磨さんは分かってるんだ。分かっていて念を押している。


「俺、結構Aちゃん気に入ってるから…ね?」
「うん、分かった!」

ニコリと笑えば、童磨さんも目を細めて、私を解放してくれた。

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(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月4日 0時

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