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佰拾弐 ページ12

猗窩座side



「A、A、A…少しだけ」


なぜか彼女は彼女だけは弱くても嫌いにはなれなかった。
むしろ彼女の傍にいると安心できた。
それはきっと、俺の根本にある大切な【何か】が彼女と少し似ているからだろうか。

少し…


「…猗窩座さん?」

戸惑うAの声も聞かずに彼女の背中に頭を寄せる。

「少しだけだ」
「あ、別に好きなだけ寄りかかっていいよ?私は童磨さんから借りた本読んでるから」

Aはペラッと音を立てて本をめくった。


あの時はさすがに焦った。
杏寿郎は鬼になる事を断るし、日が昇りそうになったり……そしてあの御方は機嫌が悪い。


「あ、そうだ、そうだ。猗窩座さん」
「なんだ」

Aは本を閉じた。

「猗窩座さんってネクタイ結べる?」
「ネクタイ?なんだそれは」
「ちょっと待ってて?」

Aに寄りかかっていた俺は少しグラつく。
Aはすぐに紐のような物を持ってきた。

「これこれ!ネクタイ!」
「…なんだこの紐」
「これをねぇ……こうだったっけ?ええっと、こうして……」

Aは俺の首に紐を巻き付け始めた。

「こんな感じ!おぉ!猗窩座さん似合ってるよ!」

似合ってると言われても嬉しくない。
似合ってないと俺は思う。
とりあえず外してAに渡す。

「こんな変な物を付けているのか?」
「無惨さん、毎日つけてるよ?」
「……素肌にコレはないだろ…」
「うーん……あ!確かに!」


二人で話していると、ベンッと琵琶の音が鳴った瞬間、物凄い殺気が後ろから感じた。

あぁ、あの野郎も来たのか。

「あ!黒死牟さん!」
「……その紐はなんだ」

すぐにAの隣に座り、俺に殺気を向ける。
そんなに俺がAと居るのが気に入らないようだ。

「これはネクタイでね……猗窩座さんにさっきまで付けてもらってたんだよ!」
「……そうか」

自然にAの肩に顔を置いて、くっついている黒死牟。
コイツ本当に上弦の壱なのだろうか。

「A、その後ろにくっついているやつを許し過ぎると、あの御方に……っ」

Aの背後から六つの大きな瞳が俺を見つめる。


口元がゆっくり動く
【私の……言いたいことは……わかるな】


ブワッと嫌な予感がした。


「ん?猗窩座さ…」
「いや、なんでもない。俺はこれで…」

ベンッ!


「おっ?これはこれは猗窩座殿と黒死牟殿!」


めんどくさい奴が増えた。

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(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月4日 0時

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