痛いの痛いの。 (ページ2)

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貴方がしようとしたことを。ページ2

ぎりぎりと、夜の街灯の下で音がする。下には憑物と少女だけ。灯りに浮かび上がった少女の指から発せられる鈍い音は、冷めたアスファルトを侵していった。

「私に憑いたのが運のつきよ。こんなに不幸にして、私の生気を啜って、17年十分楽しんだでしょう？だから、その力私に頂戴？」

私のお陰で幸せだったのだから。そう言って少女は虚空を掴み、指の力を一層強くする。もとより白い肌はなお白く、地味ながら可愛らしかった顔は怪しい色気を帯びる。
指の辺りの空間がびりびりと震え、次第にそれも弱り、いつの間にか虚空からは何もなくなっていた。

朝になり、少女は朝霧の樹海へ入る。その内会えるであろう木霊に道案内を頼むためである。

「木霊の子は何処かしら。」
「お呼びですか？」

ふと呟くと、視界の端から子供ほどの背の木霊が顔を出す。

「人といえない体になったから、何処かしらへと案内して頂こうかと。私に相応しい所に。」
「成る程…。では地獄に行ってみては如何でしょう？妖も沢山いますし、こちらより馴染みやすいかと。」

木霊は少女を見上げながら提案し、手を引いて案内を始めた。