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数分が経った後
阿部が戻ってきた
俺はまだ下を向いたまま動かずに壁に寄りかかってるだけ
そんな俺を見た阿部が駆け寄り
「 大丈夫！？救急車呼ぶ！？ 」
と、手を差し出しながら問い掛ける
だが俺は阿部の手を払い除けて
焦点が合わないままフラフラとする身体を立ち上がらせる
頭が痛い
身体が重い
目眩がする
人と会うだけでこうなるのは初めてだ
あァ、嫌だ。
逃げたい。
一度監視カメラモニターに映る駐車場の様子を見て
向井が居ないことを確認した俺は
「 仕事、戻ります 」
と言って、顔を伏せて
レジ前に立って店員を探している客の元へと歩き出す
幸い商品は少なくて、決済もバーコード
「 またのご来店、お待ちしております 」
俺はそう言いながら客にレジ袋と詰めた商品を渡す
( あの … どうして、泣いてるんですか？ )
客は俺の顔を覗き込んでそう言う
「 え … 」
俺はじっと客を見ながら
一つの雫を流した。
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作者名：渚 | 作成日時：2022年4月29日 21時
