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「 あれ、もう大丈夫なんすか 」
「 うん大分良くなったよ、昨日任せてごめんね
今日休んでも良かったのに 」
「 一応シフト入ってるんで … レジ行ってきます 」
あの後
久しぶりに大泣きでもして顔ぐしゃぐしゃにしてやろうかと
思ったが、仕事がある事を思い出して辞めた
前までは事ある事に泣いていたのに
一体どこからこんなに強くなったんだか。
いや、弱くなったのかな
「 いらっしゃいま ... せ 」
今日は日曜日と言うだけであって客は少ない
皆、休みは家にいたいんだろうな
なんて思いながらボーッと立てる時、入店音が響く
俺はチラッと横目で出入口の方を見た
あぁ、なんで来たんだろう。
焦げ茶色の髪
筋が通っている手
高い鼻
見たくも無い顔
この辺には住んでないはずの
向井
が何故このコンビニにいるのだろうか
客は向井だけ
他はいない
見たくも無いのに何故か目線は向いてしまって
真剣に商品を選ぶその横顔に見蕩れる
あの横顔を見る為にずっと隣にいたっけ
なんて思い出すから、手に力が入って爪が肌に引っかかりそうだ
「 これ、お願いします 」
向井は俺に気付かずに商品を出して財布を漁る
声を変えようとした俺だが、そんな暇は無くて
出されたお金を素早く打ち込む
「 こちらお釣り .. 「 しょた、くん? 」
目を合わそうとは思っていなかったが
自然に向井の顔を見る体制になってしまい
思わず目が合った
俺は急いで
商品をレジ袋に詰めて
「 ありがとうございました 」
と言って、駆け足で裏へと駆け込んだ。
だけど、向井は俺の後を追ってきて裏へ続くドアを開ける
追い出そうとした俺だが
前と同じで向井の力には敵わなかった
壁に追いやられて、両腕を掴まれた俺
逃げ場なんてなくて、ただ向井の目を見るだけ
「 しょたくんあん時は! 」
目を充血させて、潤わせる向井
何か続きを言おうとした瞬間、後ろから走ってきた
阿部に掴まれてしまう
「 お帰りください 」
と、いつもの顔とは違う
険悪な顔で向井を見て、俺から引き剥がし部屋から出る
膝から崩れ落ちヘタレこんだ俺
怖いというよりも
悔しかった
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作者名:渚 | 作成日時:2022年4月29日 21時