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唇を数度重ね合えば
リップ音を鳴らして唇を離す
半開きの口のまま見詰めあうと、深澤は “ フッ “ と
笑って落ちたシガレットを靴で踏み潰した
「 まだ翔太には早かったみたいだね 」
「 同い年だろ 」
「 んは、精神年齢的に俺の方が上だから 」
遠くを見ながら、また煙草を吸い始めて話す彼
やっぱり横顔綺麗だな
と思いながら胸ポケットに視線を移す
Peace。
嫌いな煙草だ。
「 今日、夜空いてる? 」
「 夜 … 17時以降でも良いなら 」
「 なら俺ん家に来て、一緒に飯食お 」
少し頬を火照らせながら言った彼は可愛くて
俺は勢いのまま彼にキスをする
さっきの、仕返しみたいな。
目を見開いて少し驚いた彼だが、直ぐに後頭部に手を回して
身体中の底から熱が湧き上がる様な熱烈なキスが俺を襲う
いつもなら目を閉じながらするはずなのに
今は目を瞑って俺だけに集中する彼を見たくて
少し目を開けながら彼を見つめる。
こんなに熱くなったの、きっと二度目。
「 … こんなんじゃ仕事戻れなくなるから、もう終わり
住所は後で送るから見といて 」
「 ん、おっけ 」
「 楽しみにしてるよ、またね 」
キスが終われば彼は鞄を持ち
優しく頭を撫でて俺から去った
俺は全身の力が抜けて、コンクリートに倒れ込む
ダメだ、仕事に集中なんかできない
火照りに火照って、赤らんだ身体達は既に彼を求めてる
行為的にじゃなく
好意的に。
「 わたな ... え、渡辺くん!?渡辺くんどうしたの!? 」
休憩時間があと少しだよという知らせを伝えに来たのか
阿部がドアを開けた先には倒れ込む俺
そりゃあ焦る。
阿部に身体を揺さぶられても俺はボーッと目の前に
生える雑草を見る事しかできない
もう身体は、彼に染ってしまってるかもしれない
「 すんません、寝てました 」
俺はそう言って重くて熱い身体を自力で起こし
阿部を見て、立ち上がる
「 なんか煙草臭いけど … 吸ってた? 」
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「 夢中になるほど、吸いました 」
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作者名:渚 | 作成日時:2022年4月29日 21時