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バタバタと足音がするなと思ったら
スーツが乱れて髪の毛がボサボサになった彼が走ってきた
なんともまぁ、会いたかっただなんて
ここ数日間の寂しさが一気に埋められて、とても嬉しい。
彼は隣に置いていた俺の飲みかけのペットボトルを持って水を飲み始める
あんなに濃厚なキスをしたのに
関節キスでも恥ずかしくなる
髪をかきあげた彼の姿は見るだけで火照りそうな程
妖艶そのもの。
ドアに寄りかかり息を完璧に整えた彼は
胸ポケットから煙草の箱を取り出して、中にある
シガレットを人差し指と中指の間に挟み
ポケットに入っていたライターを持って火をつけた
「 吸うんだ 」
俺自身煙草は嫌いでも好きでもない
大抵、遊んできた人は皆吸っていたから
もう見慣れてはいる
Peaceのライトボックス 10mg か
コンビニ店員なら嫌でも煙草の銘柄は覚える
特にメビウス マルボロ セブンスター は主に。
そんな中でも一風変わったPeaceを買う人は
ダンディなおじ様って感じの人が買ってる
優しくて、色気がある、正に彼みたいな人。
「 ずっとね、煙無理？ 」
「 ううん、平気 」
「 そっか、翔太は吸うの？ 」
「 吸ってる所はよく見るけど、一度も吸った事はないかな 」
行為が終わった数分後
特にその後のハグもキスも無ければ会話もない
賢者タイム
とも呼ばれる時間ではない
ただ終わっただけ
それだけの時間。
毎度あの時に見える煙が好きで
喫煙者の人を見つけては何度もしてたっけ。
「 口開けて 」
「 待っ、俺吸い方知らないよ？ 」
「 良いから、ほら口閉じて咥えて 」
耳元寸前で呟く彼
くすぐったさもあれば、身体もクネクネと動く
彼の吸いかけでは無い新しいシガレット
俺はオドオドとしながらも咥えて
彼は既に火が付いているシガレットの先端を当て
火をつけた
「 吸って、飲まないで吐く 」
彼の目を見て言われた通りにするが
吸うと同時に煙を飲み込んで、むせる
咳払いをするとシガレットはポロッと地面に落ちた
そんなシガレットが落ちたと同時に彼は咥えていた煙草を
また人差し指と中指の間に挟んで
軽く俺に口付けた
煙が二人の口から吐き出されれば
苦味が通る。
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作者名：渚 | 作成日時：2022年4月29日 21時
