好きです、先輩。【ＳＳ】 (ページ5)

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好き～５～ページ5

明里さんはベッタリと櫻井先輩にくっついている。
････胸がズキズキと痛い。

「相変わらずずっと一緒にいるんだなぁ、二人とも」
「やだなぁ、大野先生ったら！私が翔から離れるわけないでしょ？」
「くっつき過ぎてウザいけど」
「翔ってば照れ隠し下手過ぎない？」
「はぁ？どこをどう見たら照れ隠しに見えるんだよ。都合の良い頭しやがって」
「ひっどい！」

･･････いいなぁ。羨ましい。
櫻井先輩は、明里さんと一緒にいる時だけ素を見せてくれる。
普段は猫被った姿しか見せてくれなくて･･･。

個人的にはどっちも好きなんだけど。

本当、当たり前のように見られる明里さんが羨ましいな。

「ね、先生。一緒に食べてもいい？」
「え？別にいいけど･･･急にどうした？」
「んー、まぁ何となく？たまにはイケメンな後輩達の顔を見て美味しく食べたいなぁと思って！」
「いやいや、君には翔ちゃんがいるでしょ」
「翔の顔は見飽きてるんですー」
「って言ってるけど」
「無理矢理くっついといてこれですよ？ホントありえねー」

結局、櫻井先輩と明里さんは私達と一緒に食べることになった。
だけど何故か････

明里さんが私の向かいに座っている。

え？どうして？
もしかして、明里さんに嫉妬してたことバレた？
私の彼氏じっと見てんじゃないわよとか言われる？

それに関しては本当にごめんなさい！

でも奪う気とかそんなの全然ないから････！

「松下Aちゃん」
『っえ、』

急に名前を呼ばれ、少し固まる。

「だったよね？名前」
『あ･･･は、はい。そうですっ』
「可愛い名前だね。私もそんな名前が良かったなぁ」
『そんな‥‥私こそ、先輩みたいな素敵な名前が良かったなって思います･･･』

私も明里、って名前だったら。
そうしたら櫻井先輩に呼ばれてるような気持ちになれたのかな。

･････気持ち悪いぞ、私。

「そう？んふふ、やっぱりAちゃんって可愛いねぇ。妹に欲しいくらい！」
『え！？そ、そんなっ････！』
「あ、そうそう！Aちゃんって今、彼氏いるの？」

明里さんからの急な質問に動揺してしまう。
少しして小さい声で「いません･･･」と答えると、何故か嬉しそうな顔をされた。

「じゃあさ･･･好きな人は？」
『す、好きな人････ですか？』

これこそ迂闊には答えられない。

貴方の彼氏です、なんて。

そんなこと言えるわけがない。