好き〜３０〜 ページ30
Ｓ side
「こら、伊野ちゃん」
ふざけすぎ、と山田が伊野尾の頭を軽く叩いた。
「えー？こんなの信じるほうがおかしくない？」
「現に先輩が信じてるだろ」
「･･･どっち？」
問う声は思ったよりも低い。
伊野尾は相変わらず笑いながら「こわーい」と山田に抱き着いた。
『伊野尾くん、私が他の女子に睨まれるから止めて』
「今更でしょ？」
『今更でも！』
「････えっと、結局嘘なの？」
彼女の反応的に違うんだろうなと感じたうえでもう一度聞く。
伊野尾は冗談でした、とケラケラ笑う。
山田と松下は呆れたようにため息を吐いた。
苦労してるんだな。
「あ、そろそろなんで行ってきまーす。確か豚足ちゃんも一緒でしょ？」
『そうだけど豚足って言わないで！』
「可愛いのにぃ」
二人は言い合いをしながらスタート地点に着いた。
･･･俺も次だし、用意しとくか。
そう思って立ち上がった時だった。
「好きなんですか？」
いつの間にか隣にいた山田が変わらない声色で話しかけてきた。
「何が？」
「何がって。先輩そこまで鈍い人じゃないでしょう？」
少ししか話してないのに性格分かるのか？
俺の考えを読んだようにくすっと笑った。
「先輩、俺と似てる気がして」
「山田と？」
「表では良い子ぶってるけど腹の中は真っ黒、とか」
「･･･俺がつくってるって？」
「違いました？」
････まさか見抜かれてるとは。
「否定はしない。で？松下が好きかって？」
「ええ。伊野ちゃんが彼氏だって言った時焦ってたように見えたので」
「･･･よく見てんな」
確かにあれはだいぶ焦った。
でもそれは山田が思ってるようなことじゃない。
あいつに彼氏がいると都合が悪いだけ。
だから別に嫉妬なんてしてないし、
････するわけがない。
「･･･んー、先輩が焦ったのってもしかして････明里さんが関係してたり？」
首を傾げる山田を軽く睨む。
何でそんなこと分かるんだよ。
「怖いですって。でも櫻井先輩と明里さんは有名ですし、そこに結びつくのは仕方ないと思うんですよね」
「･･･そうかよ」
「でも先輩、気を付けといたほうがいいですよ」
山田はすっと目を細めて立ち上がった。
「俺や伊野ちゃんはただのおもちゃ･･･じゃない。友達として見てるから大丈夫ですけど、うっかり他の男に取られる可能性ありますからね？例えばー････誰でしょう？」
山田の視線の先には松本。
･･･何でもお見通しかよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかづち
| 作成日時：2020年9月2日 15時
