好き〜２４〜 ページ24
大野先生は話が終わると「ん〜」と首を捻った。
「それはどう考えても明里ちゃんが関係してるよね」
『でしょ？なのに「内緒」とか言われても納得できませんよ』
「まぁ、潤くんなりの気遣いなんでしょ」
それはもちろん分かってるけど。
でもだからってこのままは嫌。
「潤くんが無理なら翔くんに聞くとか、」
『絶ッッッ対に無理です！』
「あれ、言い切っちゃう？」
『･･･普通に話すのでさえ無理なのに、そんな踏み入ったこと聞けませんよ』
「なら二人はギクシャクしたままだね」
『･････』
大野先生はにやりと笑った。
『先生、性格悪い』
「酷い言い草！でも俺は間違ったこと言ってないと思うけどな」
『･･･そう、ですけど･･･』
「ふふ。Aちゃん、リスみたい」
私の頬をつっつきながら楽しそうにしている先生。
人をいじって楽しいなんてますます性格が悪い。
･･･大野先生に相談したのは間違いだっただろうか。
「ね、Aちゃん」
『なんですか』
「そうやって恥ずかしがってちゃ進まないよ」
･･･先生の言うことは最もだ。
このままじゃ先輩と潤くんは嫌な雰囲気のまま、
「んー、なんか勘違いしてない？」
『え？』
勘違い？何を？
「俺は潤くんと翔くんのことを言ったんじゃないんだけど」
『ええ？じゃあ何のことですか』
「Aちゃんと翔くん」
『････余計に意味が分からないです』
「ありゃ、鈍感もここまで来ると末期だな」
呆れたようなため息。
どうしてそんな目で見るんですか先生。
普通あの流れで私と櫻井先輩だとは思わないでしょう。
「翔くんのこと好き？」
『す、すき、です･･･』
「ならどうしていつも自分から行かないの？」
『なっ、大野先生こそ勘違いしてます！』
「何が」
『私は櫻井先輩と付き合いたいわけじゃないんですよ』
「好きなのに？」
『見てるだけで充分なんです』
「それこそ意味分かんないなぁ。じゃあ翔くんが他の女の子と付き合っても平気ってこと？」
『平気･･･ではないですけど、櫻井先輩が幸せならそれで･･･』
「ふーん、健気」
本当に思ってるんですか？
とつっこみたくなるくらいの棒読み。
あ、これ心底呆れてるな。
『馬鹿だと思ってるんでしょう？』
「いーや？Aちゃんらしいなと思ってる」
『本当ですか･･･』
「まぁそこは別にいいや。で、翔くんと潤くんのことだっけ？」
そう言われて我に返る。
そういえばそのことを相談してたんだった。
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年9月2日 15時
