好き〜１９〜 ページ19
「そういうあんたこそ･･･」
「ああ、さっきまで翔とゲーセンで遊んでたの」
････へぇ、翔先輩とね。
Aが聞いたらだいぶ落ち込みそうだ。
ここにあいつがいなくてよかった。
「それより･･･さっき電話してたのって、元カノ？」
「！･･･何で知ってるんですか」
「そう警戒しないでよ。ただ、たまたま会話が聞こえちゃって･･･「別れたくない」とか「そういうところが嫌になった」とか、多分元々付き合ってたんだろうなって」
「････まぁ、そうですけど」
「彼女、いたんだね」
「そりゃ高校生だし、一人くらいいるでしょう。っていうか、そんなの気になります？」
「気になるってわけじゃないけど、松本くんはAちゃんのことが好きなのかなって思ってたから」
もしかして、と明里さんは笑った。
「Aちゃんが翔のこと好きだから我慢して別の女の子と付き合ったの？」
･････は？
あまりにも見当違いな言葉に、思わず出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。
何でそうなるんだよ。
確かにAのことは好きだけど、それは友達としてであって･･･。
･･････はぁ、めんどくさい。
「違いますよ･･･告白されて、別に断る理由がなかったから受け入れただけです。Aは何も関係ない」
「でもさっき、「大切な奴」って言ってたよね？」
だからそれは友達って意味で、相葉くんだろうが翔先輩だろうが同じこと言うっつーの。
と、イライラが再び募ってくる。
大体、この人は何でここまで俺に構ってくるんだ？
Aに手を出されるよりはマシだけど、だからって苦手な人といつまでも
会話できるほど俺もオトナじゃない。
「･･････もういいですか。急いでるので」
「あ、待って！」
「なんですか！さっさと済ませてください！」
思わず声を張り上げる。
明里さんは驚いたように目を見開いたが、すっと目を伏せてぽつりと呟いた。
「ごめんなさい･･･でも、これだけ確認したくて」
「･････こっちこそ、大声出してすいません」
聞きます、というと明里さんの声が少し明るくなった。
「あのね、あの子･･･Aちゃんって･･･本当に翔のこと好きなの？」
「そうだと思います。少なくとも、俺が見る限り本気ですよ」
「･････本当に？本気？」
「･･･何が言いたいんですか」
「････Aちゃんに言っておいてくれる？
私の邪魔はしないでほしい、って」
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年9月2日 15時
