第十九話 ページ20
飛行機を手配するまで時間が掛かるとジョースターさんに言われたので､取り敢えず必要最低限の物を取りに家へ来た｡
けれど､そもそも私には必要最低限の物すらないのだけどね｡
2階への階段を上ると､廊下に畳んである布団が朝のまま置いてあった｡
廊下――そう｡私は一軒家の2階､その廊下に布団を敷いて寝ている｡
私はそれを極当たり前の事だと思っていたけれど､どうやらそんな事はないらしい｡
なので､そうとは知らずにそれを話して友達を1人失って以来､私はこの事を大っぴらに話さないようにしている｡
――なんて､私の寝床事情は今は関係ない｡
それに､今更ちゃんとした寝床が欲しいとは思わない｡
『言い訳をこうつらつら思うけれど､ただ単に当たり前を変化させたくないんだよね』
朝とは違い､父親と呼ぶべき人と母親と呼ぶべき人はいない｡
『まあ､いても困る事はないけど……気まづくはあるんだよねえ』
家の中だと自然と独り言が増える｡
なんとなく､この家の中にいると言葉を忘れてしまいそうになるからだ｡
『財布と肌着……あと､何か本でも持って行こうかな』
数少ない私物を鞄の中に入れていく｡
私服も何枚か持っているけれど､制服で事足りるし義務感で2人が買った物だから､ハッキリ言うと持って行きたくない｡
『あとは……ない､かな』
荷物を持つと家を出る｡
敢えて書き置きはしなかった｡しても意味無いと思ったから｡
家を出て少し歩くと､姓ちゃんも丁度来たところだった｡
「あら､千紘の荷物はそれだけなの？」
『え？これで充分じゃないの？』
「女子は荷物が多いもんなのよ｡千紘が少なすぎるの｡それ､本当に必要最低限中の最低限じゃない」
『そうかな…』
持っている自分の荷物を見やる｡
「まあ､あなたの肌なら平気ね｡まだあと10年は戦えるわ」
『なんの話をしてるの!?』
「大丈夫､危なくなったら私が丁寧にケアしてあげるから」
『あ…ありがとう』
取り敢えず姓ちゃん､私の頬を撫でるのをやめて｡くすぐったいから｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナーガ(プロフ) - 龍神邪炎@田中くんになって太田が欲しいさん» ありがとうございます。そう言っていただけるととても頑張れます！ (2017年10月19日 7時) (
レス) id: f9f66c5a0b (このIDを非表示/違反報告)
龍神邪炎@田中くんになって太田が欲しい(プロフ) - ナーガさん» あ、いえ、どうしたのかなぁと思っただけですので、あまりきにしないでください。これからもこの作品応援してます。 (2017年10月18日 22時) (レス) id: 8839339b34 (このIDを非表示/違反報告)
ナーガ(プロフ) - 龍神邪炎@田中くんになって太田が欲しいさん» すみません。続きを１度書いたんですが、わたしの不注意で削除してしまったんです。なるべく早くまた書き直します｡ご迷惑をおかけしました。 (2017年10月18日 22時) (レス) id: f9f66c5a0b (このIDを非表示/違反報告)
龍神邪炎@田中くんになって太田が欲しい(プロフ) - すみません。この作品の続きってないんですか？この小説の続きへ→っていうの押したら作品ページが見つかりませんと出たのですが……… (2017年10月18日 22時) (レス) id: 8839339b34 (このIDを非表示/違反報告)
ナーガ(プロフ) - 腸炎ビブリオさん» ありがとうございます。楽しみにしていてください！ヽ(*´∀｀)ノ (2017年9月22日 18時) (レス) id: 33ea84a1a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナーガ | 作成日時：2017年4月27日 19時
