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186、作戦開始 ページ7

「小湊先輩、やっぱりうち、小湊先輩の傍に居たいッス」
「何当たり前の事言ってんの?バカなの?」


夜のグラウンド。
練習も終わり人気のないその場所で、うちと小湊先輩は抱き合っていた。
分厚いコート越しに感じる小湊先輩の体温。
さぁ、作戦開始ッス。


「…恥ずかしいッスね、これ…」
「そう?別にいつも通りじゃない?」


作戦その1、まずはあの男を誘い出す事。
小湊先輩と抱き合ったまま、互いに周囲に神経を張り巡らせる。
あえてグラウンドのど真ん中を選んだのは、どこから現れても背後を取られないためだ。


「…来たよ」


小湊先輩が小さく呟いたのでバッと振り返る。
暗がりから歩いてくる黒い影。
小湊先輩がさり気ない動作でうちを後ろに下げた。


「…ヒドイよ、Aちゃん…約束したのに」


フラフラと左右に大きく揺れながら近付いてくる不気味な人影。
うちと小湊先輩は、至極冷静にその姿を見つめていた。


「誰?A、知り合い?」
「んーん、知らない人ッス」


ピクッと反応して立ち止まった影。
うちらが選んだのは暴力ではなく精神攻撃。
そのねじ曲がった心、再起不能なまでズタボロにしてやるッスから。


「何言ってるの?僕だよ、Aちゃん」
「なんスか、気持ち悪い…アンタが知っててもうちは知らないッスよ」


感情を込めず淡々と話す。
小湊先輩が後頭部の傷を摩った。


「もしかして、俺の事殴った奴じゃない?」
「えぇ?こんな根暗で弱そうな奴にやられたんスか?」
「はは、言ってくれるね」
「いったぁ!!」


作戦にはなかったチョップが脳天に落ちる。
見せ付けるように小湊先輩に抱き着き、小刻みに震えているその男を冷たく見据えた。


「そう言えば会ったことあるかもしれないけど、うちこんな存在感ない人の事なんていちいち覚えてないッスよ」

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橋姫(プロフ) - リンさん» リンさん感想ありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです(o^^o)今後も楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします!^^ (2016年9月16日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
リン - めっちゃ面白かったです。ありがとうございました。 (2016年9月15日 6時) (レス) id: 7578393967 (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 春介さん» 春介さんコメントありがとうございます!私には勿体無いお言葉(´;ω;`)嬉しいです!今後も是非よろしくお願いします^^ (2016年6月18日 20時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
春介 - もう格好良さの塊と可愛さの塊ですね。主人公が可愛いらしいです。最初から読む価値ありますよ。ヘ(≧▽≦ヘ)♪ (2016年6月18日 20時) (レス) id: 48065eba43 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァン - 遅くなってすみません!本当ですか!?続編とても楽しみにしてました!言葉で表せないくらい、めっちゃ嬉しいし、この小説大好きです!頑張って更新してください!!! (2016年2月15日 20時) (レス) id: a98225ac2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/  
作成日時:2015年11月29日 20時

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