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6、食べる ページ8

冷蔵庫にあったもんで炒飯を作りリビングに戻る。
グルリと見渡すもAの姿はない。
反射的にクローゼットを見たが、そこにもAはいなかった。
どうやら言われた通りちゃんと風呂に行ったらしい。


「アイツ風呂長ぇんだよな」


ソファに座りテレビをつける。
ふと目に入ったサンドイッチが、半分ほど欠けていることに気付いた。
パサパサになったサンドイッチを自分の物だと言われ、食ったんだろうか。


「…可愛いとこあるじゃん」


一人クスッと笑う。
Aがいると、ここ最近のズタボロになった心が癒されるような気がする。
俺も大分疲れてんな。







カチャカチャと銀食器が皿に当たる音で目が覚めた。
ヤベ、いつの間にか寝ちまってた。
アイツ、ちゃんと飯食ってたのか…


「…って、汚っ!!!」


目を開いた瞬間、目の前の光景に戦慄する。
テーブルや床の至る所にバラまかれた炒飯の米粒。
ぎょっとこっちを向いたAは、スプーンを鷲掴みにした姿で口の周りを油まみれにさせていた。


「百歩譲って箸使えませんは分かるけど、スプーンも使えないってどういう事だよ!」
「っ…」
「あ!コラ!その汚い格好で逃げ回るな!」


首根っこをとっ捕まえて無理矢理口の周りを拭く。
敵意剥き出しでフーフー唸ってる姿は、やっぱどう見ても猫だ。


「貸してみ、こうやって食うの」
「!!」
「いてて!お前には触らないからひっ掻くな!」


スプーンを取り上げて皿に残った炒飯を一口自分の口へ入れる。
もぐもぐと咀嚼しながら、それをじっと見つめているAにスプーンを差し出した。


「まず持ち方が違うんだよな…まぁ食えるならいいんだけど…」


結局小さな子供がするようにスプーンを持ったAは、ポロポロと米を落としながらも何とか炒飯を口に運んだ。

こりゃ躾け甲斐がありそう。

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橋姫(プロフ) - なつみさん» こんな駄作を何度も読んでいただいてるなんてあぁぁぁありがとうございます(@_@。恐れ多すぎて嬉し過ぎます!!(>_<)続編ではひたすら二人のほのぼの日常を書こうと思っておりますので、今後ともぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年6月14日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - えええ!待ってました!この小説、何回読んだことか…続編の執筆、楽しみにしています! (2017年6月14日 8時) (レス) id: 5201279b3c (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 帰蝶さん» 帰蝶さんコメントありがとうございます!ようやく続編を書く決断ができました…お待たせしましたm(_ _)m私も青道の人達とはちょこちょこ絡ませたいなと思ってるので、まぁ全員とはいきませんが頑張って書いていこうと思います(o^^o)また宜しくお願いします♪ (2017年6月13日 7時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - うわぁ〜!!!続編始めるんですね!!!とっても嬉しいです!!!今からとても楽しみです!!!続編が始まったら青道の皆との絡みが見てみたいです!!!随分とアバウトですみません!!!これからも応援しています!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 続編は気長に待ってます!!!わざわざお返事ありがとうございました!!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/  
作成日時:2015年10月27日 20時

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