35、乗り込む ページ37
冷たい檻の中。
可愛くない洋服と、私に与えられた番号。
パッと舞台に明かりが灯り、その眩しさに瞳を細める。
薄暗いホールのような広い部屋には、沢山の大人たち。
左右を見れば、私と似た格好で檻の中で震える女の子たち。
戻ってきたんだ…また、この場所に…。
「さぁさぁお集まりの皆さん!本日の目玉は真ん中の檻、私が手塩にかけて大切に育ててきた娘が戻ってきました!」
スポットライトが四方八方から私を照らす。
人々の視線が私に集まる。
私にはここがお似合いなんだ。
私がここにいれば、もうかずやが傷つく事はないんだから。
「見てください、この後に及んで怯えもしないこの眼差し。この子は赤子の頃より完璧な“人形”として育て上げました。購入者様のお好みで、お好きなようにカスタマイズ出来ますよ!」
確かに私は誘拐されてきた子達とは違う。
生まれた時から人形のように育てられてきた。
言わば他の子達はコピーで、私はオリジナル。
誰の所に貰われてどんな扱いを受けても柔軟に対応していけるように、感情は与えられなかった。
だけど私は知ってしまった。
喜びも、幸せも、温もりも…
「スタートは$1800から!」
私に付けられた値段。
1800ドルは、日本円にしたらおよそ20万くらい。
たったそれっぽっちのお金でも、この世界では高い方だ。
所詮その程度しか、私に存在価値なんてないんだから。
「はいはーい!じゃあ俺18000ドル(約200万円)払いまーす」
突然会場に響いた、ふざけたような声。
バッと客席にスポットライトが向くと、その人は帽子を深くかぶり足を前の席に投げ出した行儀悪い座り方をしていた。
「誰だ、お前は!このパーティの参加者じゃないな!?」
「あぁ、違うよ。俺は大事なもん取られたから取り返しに来ただけだ」
クイっと帽子を持ち上げると、不敵な微笑みが目に映った。
鉄格子の隙間から手を伸ばす。
涙が溢れて視界が滲んだ。
「かずやっ…!」
「おう。迎えに来たぞ」
貴方を守るために、ワザと貴方のそばを離れたのに。
私なんかを助けるために、来てくれたんだ、かずや。
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橋姫(プロフ) - なつみさん» こんな駄作を何度も読んでいただいてるなんてあぁぁぁありがとうございます(@_@。恐れ多すぎて嬉し過ぎます!!(>_<)続編ではひたすら二人のほのぼの日常を書こうと思っておりますので、今後ともぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年6月14日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - えええ!待ってました!この小説、何回読んだことか…続編の執筆、楽しみにしています! (2017年6月14日 8時) (レス) id: 5201279b3c (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 帰蝶さん» 帰蝶さんコメントありがとうございます!ようやく続編を書く決断ができました…お待たせしましたm(_ _)m私も青道の人達とはちょこちょこ絡ませたいなと思ってるので、まぁ全員とはいきませんが頑張って書いていこうと思います(o^^o)また宜しくお願いします♪ (2017年6月13日 7時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - うわぁ〜!!!続編始めるんですね!!!とっても嬉しいです!!!今からとても楽しみです!!!続編が始まったら青道の皆との絡みが見てみたいです!!!随分とアバウトですみません!!!これからも応援しています!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 続編は気長に待ってます!!!わざわざお返事ありがとうございました!!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/
作成日時:2015年10月27日 20時