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25、作る ページ27

あのスーツの男との会話を思い出しながら、胸糞悪い気持ちを抱えたまま家に帰る。
キッチンの窓、珍しく小さな明かりが灯っていた。


「ただいまー」


明かりが溢れる先のキッチンに顔を覗かせながら声を掛ける。
ポツンと佇んでいた後ろ姿が、ビクリと震えた。


「あ…ぁ…」
「何してんの?てか何の匂い?今まで生きてきて一度も嗅いだ事ない匂いがすんだけど…」


慌てて何かを後ろに隠したA。
まーた新しいイタズラ思い付いたのか?


「何隠してんの?」
「!」
「叱らないから見せてみ?」


オロオロと慌てるAの後ろを覗き込む。
シンクの調理台の上には、一枚の皿と見た事のない何かが乗っていた。


「…何これ」
「…」
「え?もしかしてご飯作っててくれたの?」


ピクッとAの肩が震え、Aはその皿をおずおずとこっちへ差し出してきた。


「…かずや…おなか、すいてるかなって…」


何をどうしてこうなったのか全く理解不能な食べ物には見えないソレ。
けどコイツなりに一生懸命作ったんだろう。


「…はは、すっげぇ。ありがとね」


さっきまでのイライラした気持ちが消えていく。
ぽんぽんと頭を撫でると、Aはパァと明るい顔をした。


「ちなみに何作ったのコレ」
「…あれ」
「おー、サンドイッチかぁ。独創的過ぎて分かんなかった」


キッチンに貼られた雑誌の切り抜きを指差したA。
どんな味がするのか想像も出来ないが、これは頑張って食べきるしかない。


「Aのご飯もすぐ作るな。そしたら食べよ?」
「うん」


笑顔が可愛いな、コイツ。
俺がこの笑顔、守ってやらなきゃな。

26、思い出す→←24、護る



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橋姫(プロフ) - なつみさん» こんな駄作を何度も読んでいただいてるなんてあぁぁぁありがとうございます(@_@。恐れ多すぎて嬉し過ぎます!!(>_<)続編ではひたすら二人のほのぼの日常を書こうと思っておりますので、今後ともぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年6月14日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - えええ!待ってました!この小説、何回読んだことか…続編の執筆、楽しみにしています! (2017年6月14日 8時) (レス) id: 5201279b3c (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 帰蝶さん» 帰蝶さんコメントありがとうございます!ようやく続編を書く決断ができました…お待たせしましたm(_ _)m私も青道の人達とはちょこちょこ絡ませたいなと思ってるので、まぁ全員とはいきませんが頑張って書いていこうと思います(o^^o)また宜しくお願いします♪ (2017年6月13日 7時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - うわぁ〜!!!続編始めるんですね!!!とっても嬉しいです!!!今からとても楽しみです!!!続編が始まったら青道の皆との絡みが見てみたいです!!!随分とアバウトですみません!!!これからも応援しています!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 続編は気長に待ってます!!!わざわざお返事ありがとうございました!!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/  
作成日時:2015年10月27日 20時

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