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20、魘される ページ22

「ん…?A…?」


真夜中だった。
何かが倒れるような大きな音で目が覚める。
ふと、横のクッションに目を向けるも、そこにAはいなかった。


「ぅ…うぅぅ…」
「A?どうした?」


上半身を持ち上げベッドの下を覗き込む。
クッションから落ちた床の上で、Aが苦しげに呻いていた。


「ぁ…ぅぁ…!」
「寝惚けてる?魘されてんの?おい、大丈夫か?」


地面をのたうち回るように苦しむA。
慌ててベッドから降りてAの肩を揺する。
触れた身体はガクガクと小刻みに震えていた。


「あっ…あぁぁ…!」
「起きろ!A!」


尋常じゃない冷や汗のかきかた。
更に強く身体を揺さぶると、ビクッとAが両目を開いた。


「あ…ゃ…ああぁぁ!!」
「落ち着け!」


何かに怯えて逃げ惑うAの腕を掴む。
普段じゃ考えられない力で暴れているAを押さえつけることができない。


「いやっ…いやあぁぁ!!!」
「おいやめろ!」


首輪を外そうとしているのか、Aの細い指が首元をガリガリと引っ掻く。
その傷口から血が滲むのを見て、反射的にAの身体を両腕で強く抱き締めていた。


「…はぁ…はぁ…」
「大丈夫だA、俺がいる。ちゃんとここにいるよ」


ようやく動きを止めたAの頭を優しく撫で、髪にそっとキスをする。


「怖い夢でも見たんだろ?もう大丈夫だからな」
「…うぅ…」


Aが俺の胸に縋るように身体を丸める。
何がそんなに怖いのかなんて、聞いたりしねぇよ。
お前がそばに居てほしいと思うんなら、俺は黙ってそばに居てやるから。


「安心して眠れ」


そのままAが寝付くまで、俺はただただ優しく頭を撫で続けた。

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橋姫(プロフ) - なつみさん» こんな駄作を何度も読んでいただいてるなんてあぁぁぁありがとうございます(@_@。恐れ多すぎて嬉し過ぎます!!(>_<)続編ではひたすら二人のほのぼの日常を書こうと思っておりますので、今後ともぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年6月14日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - えええ!待ってました!この小説、何回読んだことか…続編の執筆、楽しみにしています! (2017年6月14日 8時) (レス) id: 5201279b3c (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 帰蝶さん» 帰蝶さんコメントありがとうございます!ようやく続編を書く決断ができました…お待たせしましたm(_ _)m私も青道の人達とはちょこちょこ絡ませたいなと思ってるので、まぁ全員とはいきませんが頑張って書いていこうと思います(o^^o)また宜しくお願いします♪ (2017年6月13日 7時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - うわぁ〜!!!続編始めるんですね!!!とっても嬉しいです!!!今からとても楽しみです!!!続編が始まったら青道の皆との絡みが見てみたいです!!!随分とアバウトですみません!!!これからも応援しています!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 続編は気長に待ってます!!!わざわざお返事ありがとうございました!!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/  
作成日時:2015年10月27日 20時

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