17、与える ページ19
「Aー、ただいまー!」
帰宅してコートを脱ぎながら声を出す。
薄暗い部屋の奥から、Aがちょこちょこと走ってきた。
「明かりつけてていいっての。すぐ夕飯作るなー」
出迎えかよ、可愛いな…とか思うだろ?
違う違う、そうじゃない。
コイツは自分の利益のために、玄関まで走ってきた。
「何作ろっかなー、今日は肉食いたいなー」
「…」
「Aはー?何食べたい?」
「…」
俺の後ろにピッタリくっ付いて後をついて回るA。
けど甘やかしてばっかじゃ躾にならないからな、必要なのは飴と鞭。
「…なーに?」
「…」
「言ってくんなきゃ分かんないけど?」
「…」
ムーと頬を膨らませるAにニヤリと笑いかける。
「おねだりの仕方、教えたよな?」
「…おみやげ、ちょーだい…」
「…ください、な」
鞄からビニール袋を取り出しAに手渡す。
週に一度、俺がAに買ってやるのは、日本語で書かれた“絵本”だ。
「読めないところは飯食ったら教えてやるからなー」
さっさとソファへ向かって走っていくAの後ろ姿に声をかける。
文字を教えてやるために絵本を買ってやってるけど、まるで乾いたスポンジ、教えたそばからどんどん吸収していくから教え甲斐がある。
「…なんだ?もう読めないの?翻訳は飯の後だって…」
離れていったと思ったら、また忙しなく戻ってきたA。
ポンッと頭を撫でてやると、Aは大きな瞳で俺を見上げた。
「…かずや、ありがと」
「へ?あぁ…どういたしまして…」
最近不意打ちが多い。
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橋姫(プロフ) - なつみさん» こんな駄作を何度も読んでいただいてるなんてあぁぁぁありがとうございます(@_@。恐れ多すぎて嬉し過ぎます!!(>_<)続編ではひたすら二人のほのぼの日常を書こうと思っておりますので、今後ともぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年6月14日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - えええ!待ってました!この小説、何回読んだことか…続編の執筆、楽しみにしています! (2017年6月14日 8時) (レス) id: 5201279b3c (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 帰蝶さん» 帰蝶さんコメントありがとうございます!ようやく続編を書く決断ができました…お待たせしましたm(_ _)m私も青道の人達とはちょこちょこ絡ませたいなと思ってるので、まぁ全員とはいきませんが頑張って書いていこうと思います(o^^o)また宜しくお願いします♪ (2017年6月13日 7時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - うわぁ〜!!!続編始めるんですね!!!とっても嬉しいです!!!今からとても楽しみです!!!続編が始まったら青道の皆との絡みが見てみたいです!!!随分とアバウトですみません!!!これからも応援しています!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 続編は気長に待ってます!!!わざわざお返事ありがとうございました!!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/
作成日時:2015年10月27日 20時