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16、着る ページ18

「よし、とりあえずそのトマト塗れのぱっと見恐ろしい服を着替えような」


口の周りや服にトマトソースが飛び散った姿のAを見て口元を引きつらせる。
何を食ったのか問いただしたくなる悍ましさだ。


「つかお前結局いつも俺のTシャツ着てるよな。折角お前用の着替え買ってきてやったのに」


今日も俺のTシャツ一枚の姿でいるAを横目に、こいつの着替えが入った袋を手に取る。
中を見て、違和感を感じた。
…ん?あれ…?


「…お前さ…下着は?」


俺が恥を忍んで買ってきたコイツの下着は全て値札が付いたままの状態でここに入ってるように見える。
…という事は、コイツ今このTシャツの下に、何着てんの…?


「うわあぁ!!」


AがパッとTシャツを捲ったので思わず大声を出し両手で顔を覆う。
ま、勿論ちゃっかり指の隙間からチラ見してんだけど。
指の隙間から覗き見えたのは、艶かしいAの裸体…ではなかった。


「ちょ!おまっ…それ俺のパンツ!!」


AはTシャツの下にさも当然のように俺のパンツを履いていた。
このところ何かパンツが少ないと思ったらコイツ…!


「なんで俺の履いてんだよ!お前のはこっち!」
「……ぃ」
「なに!?」


小さく呟いたAの声が聞こえず顔を近付ける。


「あたらしい…」
「は?当たり前じゃん、ちゃんと新品買ってきたっての」
「…もったい、ない…」


あー、Aが何を言いたいのかようやく分かった。
最初に着てたボロ布を今でも大切に持ってるコイツだ。
誰かに真新しい何かをもらった事なんてないんだな。


「これはお前の為に俺が買ってきた、お前の物だ」
「…」
「使っていいんだよ、お前の物なのにお前に使ってもらえなきゃこの洋服も可哀想だろ」


大体なんで新しい服は着れなくて、俺のパンツは履けるんだよ。
その心理の方が俺には理解出来ねぇ。


「次からちゃんと自分の服着る事。分かった?」
「…」


着替えの入った袋を押し付けると、Aはそれをギュッと胸に抱いて小さく頷いた。

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橋姫(プロフ) - なつみさん» こんな駄作を何度も読んでいただいてるなんてあぁぁぁありがとうございます(@_@。恐れ多すぎて嬉し過ぎます!!(>_<)続編ではひたすら二人のほのぼの日常を書こうと思っておりますので、今後ともぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年6月14日 17時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - えええ!待ってました!この小説、何回読んだことか…続編の執筆、楽しみにしています! (2017年6月14日 8時) (レス) id: 5201279b3c (このIDを非表示/違反報告)
橋姫(プロフ) - 帰蝶さん» 帰蝶さんコメントありがとうございます!ようやく続編を書く決断ができました…お待たせしましたm(_ _)m私も青道の人達とはちょこちょこ絡ませたいなと思ってるので、まぁ全員とはいきませんが頑張って書いていこうと思います(o^^o)また宜しくお願いします♪ (2017年6月13日 7時) (レス) id: 8eb81026be (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - うわぁ〜!!!続編始めるんですね!!!とっても嬉しいです!!!今からとても楽しみです!!!続編が始まったら青道の皆との絡みが見てみたいです!!!随分とアバウトですみません!!!これからも応援しています!!! (2017年6月12日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 続編は気長に待ってます!!!わざわざお返事ありがとうございました!!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橋姫 | 作者ホームページ:http://yumenoukihashi.himegimi.jp/  
作成日時:2015年10月27日 20時

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