鬼狩り4 ページ5
「Aさん!!」
「無一郎〜!!」
彼─時透無一郎が表情を変えるのは、Aの前だけではないだろうかとしのぶは思う。
「久しぶり。元気だった?」
「はい」
頷いた無一郎を見てAは『そっかぁ』と甘ったるい声を出し、彼の頭を撫で繰り回した。
弟もいたということもあり、Aは基本年下に甘い。特に同じ柱である無一郎には一等甘く、会えばお菓子をあげたり、時には家に上げてご飯を作ってあげたりしているのだ。
無一郎もAに助けられた事もり彼女に懐いていた。普段は無表情で辛辣な事ばかり言う無一郎だか、Aの前では全くの別人となる。あれは一種のホラーである。
「Aちゃーん!!久しぶり!!」
「蜜璃ちゃん。久しぶり」
キャー、と甲高い悲鳴を上げながらAに抱きついたのは恋柱の甘露寺蜜璃。彼女は常人離れした肉体を持ち、そのせいで長い間一人孤独と戦い続けていた。そんな彼女を救ったのは何を隠そうAだ。
『大丈夫。キミは普通の少し力の強い女の子だよ』
その一言でどれほど蜜璃が救われたことか。本人は知らないだろう。
「前会った柱会議の時より髪色が濃ゆくなったね。可愛いよ」
(Aちゃんが可愛いって言ってくれた!!嬉しい)
甘露寺蜜璃。直ぐにキュンキュンしてしまう女の子。
余談だがこの和気あいあいとしているの二人が腕相撲をした所、台が崩れ地面がえぐれた。悲鳴嶼の時はあまりの気迫に数名の隠が倒れた。優勝は悲鳴嶼行冥である。
「派手にモテてるなぁ。A」
頭に掛かった絶妙な重さにAは、半目になり後ろを見た。
「宇髄さん。いつも言ってるでしょ。頭に手を乗せるのは止めてって」
「いいじゃねぇかよ」
面白そうに笑った色男の名前は宇髄天元。元忍にして自身を神と呼ぶ男だ。
初めて宇髄と会った時、Aは本気で頭を心配した。ヤベぇよ、行冥さん。悲鳴嶼に言ったら涙を流されたのでそれからは仲良くしようと努力している。
今では苦手意識も消えこうして冗談を言える仲になった。だが最近、宇髄が頭に手を乗せるせいで背が少し縮んだ。胡蝶屋敷で『おのれ宇髄天元め!!』と叫んだらしのぶの叱られてしまった。
また少し苦手になった。
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作者名:あめだま | 作成日時:2019年7月13日 15時