鬼狩り5 ページ6
「相変わらず騒がしいな。もう少し静かに出来ないのか」
「伊黒さん。久しぶり」
ふん、と鼻を鳴らした男の名前は伊黒小芭内。蛇柱だ。
ネチネチと言われているがAは何処吹く風だ。最初の方はムカついていたが、今は彼なりのあいさつだと解釈している。それをしのぶに言ったら『物凄い解釈の仕方ですね』と尊敬半分、呆れ半分の顔をされた。
「文通は続いてる?」
「まぁな」
「それは良かったよ」
顔を背ける伊黒。そんな彼を見てAは微笑ましく思った。
伊黒は蜜璃が好きなのだ。だが恋多き女の蜜璃に通じるわけもなく、見兼ねたAが文通を進めた。
どうやら上手く行っているらしい。
その時、暖かい太陽のような気配がしてAは振り向いた。
「A!!久しいな!!」
「煉獄さん!!」
この声を聞くのは何時ぶりだろう。
とても懐かしく思える。
Aは堪らずその人物に抱きついた。
蜜璃が興奮して悲鳴を上げるが、Aは全く気にしていない。
「うむ!また力が強くなったな!!」
それはお前の勘違いだよ、とは宇髄には言えなかった。
煉獄杏寿郎。Aとは古くからの付き合いで彼女にとっては兄の様な存在だ。明るく、太陽のような雲の上の人。
煉獄はその豪快さとは裏腹に、優しい手付きでAの頭を撫でる。
「お前らっていつも派手にイチャつくよな」
「嫁が三人もいるキミには言われたくないぞ!!」
呆れた宇髄は溜息を吐く。
この二人は傍から見たら付き合いたてのカップルだ。しかも、それが普通に街中でもするのでこっちはたまったもんじゃない。
初めは注意していたしのぶも、もう諦めた。
Aにとっては数少ない甘えることの出来る相手なのだ。それをおいそれと奪うことは出来ないと悟った。
(少し悔しいですね)
数年前まで、しのぶにも甘えていたのに。姉が死んでから彼女は頼らなくなった。
しのぶはそれが悲しくて、そして煉獄が少し妬ましいのだ。
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作者名:あめだま | 作成日時:2019年7月13日 15時