向日葵のように笑って２ (ページ7)

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広臣side ページ7

「広臣次これ歌って。」

アイリちゃん。

今は＂アイリ＂

カラオケにきてから俺はずっとこの子に釘付けだ。

数時間前までは＂登坂さんって居酒屋とか行くんですね＂なんていかにも緊張して控えめな女の子って感じだった。

それが今。

「ねえ広臣聞いてんの？」

『ごめんごめん。いいよアイリ好きなの歌ってやるよ。』

今までの俺じゃありえない。

女なんて好き好き～って脱いでくれりゃ良かった。

でもアイリにはそうは思わない。

素のそのままのアイリで俺に話しかけてきてる。

好かれるために取り繕ったりましてやホイホイ色気だしてきて脱いだりする女とは違う。

俺は本気で恋したんだ。

「広臣歌わないならあたし歌っちゃ……んん。」

気づいたら俺はその赤く膨れ上がる唇にキスをしてた。

＂ごめん＂

そう言おうとして口を開いた俺。

でも自分の身体に響いた俺の言葉は別のものだった。

『アイリ、好きだよ。』

やべえ…軽い男だと思われた？

「広臣…」

さっき言おうとしてた＂ごめん＂は今言うべき？

でもアイリ、俺本気だよ？

「さっきので……足りたの？」

色っぽい声で、少し照れながら微笑んだアイリ。

その返事って…期待していいの…？

『足んない。』

そう言うとそっと目を閉じたアイリ。

ガチャッ

タイミング悪すぎるよお前ら。

それから何曲か歌ってそろそろ帰ろうかってなった。

「俺このままAちゃんと帰るけどアイリちゃん家どこだっけ？」

「私ここから30分くらいのとこなので大丈夫です。」

そう言って歩きだそうとしたから咄嗟に声を出した。

『俺も家そっちの方だからさ、送るよ。』

嘘。家は真逆。

だけどまだ一緒にいたい。

俺の家を知ってる隆二をみると＂ガンバレ＂って口パクで言ってる。

コクっと頷くと俺とアイリ、隆二とAちゃんというふうに分かれて歩き出した。

______アイリ

______広臣

そう名前を呼び合って抱き合った数十分後の俺たち。

隆二たちはどうしてるかな。