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4話:バケモノ ページ5

血飛沫(ちしぶき)あげたヒーローのどう体は、ぱたりと倒れた。









『……っ、』









罪悪かんで声が出なくなった。



わたしがヒーローにたすけをもとめたから、チサキが…、









胸がくるしい

押しつぶれそう





それにトドメをさしたのはチサキだった。









「ほら…、A。お前が助けなんか求めるから…」









そのゴツゴツした指をヒーローにさした









「お兄さん、死んじゃったんだぞ?」









目元を緩め、ひどく嬉しそうに笑うチサキに、涙がこぼれた。









その涙は、罪悪かんからきてるんじゃない。



哀しみでも、怒りでもない。



だとしたらそれはなんなんだろう?

そんなのカンタンだ、自分でもわかってる。









わたしは、自身の非力さに、自分の情けなさに泣いてるんだ。



わたしが、わたしの、せいで…っ、









「…だい……じょぶ、」









その声に右を向くと、とれたあたまが血を流し、笑っていた。



その目は焦点があってなくて、どこを見てるのかわからない。



だけど、その目がわたしの目とあった気がして、子どもらしく顔をくしゃりとゆがめた。









「おれが、きみを、たすけ…」



「黙れ、病人が」









チサキがそのあたまを踏みにじる。



そして、しゃべらなくなったあたま。









そのあたまから目をはなせない



はなしたいのに、はなせない



目をとじてもそのあたまがまぶたのうらに焼きついて。









『ごめん、なさい…』









その言葉を繰り返しても、返事はこない。



死んだものは、二度としゃべらないのだ。









「…無駄な足掻きを」









あざ笑うチサキが、バケモノに見えた。





おねえちゃんはこのバケモノにとらわれてるんだ。

にげられないようにと、離れられないようにと。









わたしがここにつれてきた理ゆうが、何となくわかった。





わたしに見せつけてるんだ。

人の死を、わたしの行動一つ一つが人をころすことを。



あるいは、おねえちゃんもこうなることを______…









『…チサキ、』









服をくいっと引っ張る。



そしてそのネコのような黄色く細い目を、じっと見つめた。









『余計なことをしないようにすればいいんでしょ?』









まかせてと笑うと、チサキはわたしを抱え、歩きだした。









(…わたしもやっぱり人間だなぁ、)



そう考えながら、その服をつよくつかんだ。

5話:セツノにぃ→←3話:生と死



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あんころ餅 - とても面白いです!!この小説とショタ主の方両方見ました!!両方ともとっても好きです!!これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 22時) (レス) id: 0e111988c0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこはん - おもろい!!!! (2020年1月20日 21時) (レス) id: d1220536e3 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - 最&高です!頑張って! (2020年1月20日 16時) (レス) id: 03f6bf06e7 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - とても面白いです!こういう作品大好き(ノ´∀`*)頑張ってください! (2020年1月20日 1時) (レス) id: 06efcbf80c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2020年1月19日 18時

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