1話:おねえちゃん ページ2
「A、おはよう」
『…うん。』
おねえちゃんはいつもと同じように、おはようって挨拶してからギューッて抱きしめてくれた。
おねえちゃんの温もりは好き。
あったかいし、安心できるの。
それにとてもいい匂いなんだよ。
でもね、ここ3日はなんかちがう。
おねえちゃんが壊れそうでこわい。
触れることさえこわくて、大好きなギューができないの。
それがとても悲しくて、おねえちゃんに心配かけちゃった。
理ゆうはわかってるんだ。
…おねえちゃんの、腕のキズを見た…から。
でも、おねえちゃんに聞くのがこわくて、ずっとむねの中に閉まってる。
おねえちゃんはずっと笑顔で、でも、人がきた時はわたしをおねえちゃんの後ろに隠すの。
わたしを庇ってるんだよ。
守ってくれてるの。
でもね、なんでわたしを守ってるのかわかんないんだ。
だって、あの人はわたしにお菓子をくれるの。
たまに殺気を含んだ目でみてくるのはこわいけど…
お菓子をくれるのって、いい人だよね…?
ずっと黙ってるわたしを見て、おねえちゃんは不思議がったみたい。
「どうしたの…?」
って顔を覗きこんできた。
それに『なんでもない』って返したけど、うまく笑えてたかなぁ。
「エリ、A。」
「っ…!」
チサキが、顔をひょこっと覗かせた。
おねえちゃんはわたしを後ろに移動させて、チサキをめいいっぱい睨む。
おねえちゃんの背中は小さいけど、安心感がある。
「Aを守る」
「わたしが、絶対に」
そう背中に書いてあるの。
それがとても嬉しくて、だらしなく頬が緩む。
「時間だ。行くぞ」
「っ、」
おねえちゃんの腕をランボウに掴んだチサキは、わたしを見向きもしなかった。
腕を掴まれた瞬間、おねえちゃんは一瞬痛そうにして、わたしに微笑んだ。
その笑顔が、わたしのむねを苦しめるの。
おねえちゃんの優しい手に、手を伸ばそうと腕を伸ばす。
でもその手は空を切って、だらんとぶら下がった。
チサキは怪訝そうに顔をしかめて前を向く。
扉が閉まる前、おねえちゃんは言った。
「すぐに戻ってくるから、いい子にしててね。」
おねえちゃんが涙をのんで笑うから。
わたしはこう言うしかないの。
『…わかった』
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あんころ餅 - とても面白いです!!この小説とショタ主の方両方見ました!!両方ともとっても好きです!!これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 22時) (レス) id: 0e111988c0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこはん - おもろい!!!! (2020年1月20日 21時) (レス) id: d1220536e3 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - 最&高です!頑張って! (2020年1月20日 16時) (レス) id: 03f6bf06e7 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - とても面白いです!こういう作品大好き(ノ´∀`*)頑張ってください! (2020年1月20日 1時) (レス) id: 06efcbf80c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2020年1月19日 18時