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轟焦凍、ストーカー型。
メリバendでは比較的に安全な方だが、恐ろしいものは恐ろしい。
彼はヒロインの体重、身長、住所、更には家具の位置などの些細なことまで把握してる、度が過ぎたストーカーだ。
そんな彼が
いや、まだ確定とは言えないが、ほとんど決まっているだろう。
前の私が、どこかで道を間違えた。
これは確定だ。
本来彼がヒロインに好く理由は、自分の心の壁を壊してくれたから。
何せこれには心当たりがある。
私が5、6歳の頃。
公園で泣いている彼に、思わず声をかけてしまったのだ。
『そんなメソメソしていたら、幸せが逃げるよ』
「…しあ、わせ」
『そう、幸せ』
綺麗な目から宝石のような涙を流し泣く少年は、私を見上げていた。
まるで私に縋るように。
『私が思う幸せは、自分らしくいることだと思うの。
泣くこと自体が自分だとしても、それはダメ。泣いていたら余計幸せが逃げてって、辛くなるだけなの』
「…にげる つらくなる じぶん」
何度も私の言葉を繰り返す彼を見て苛立ちを覚えたが、子供だからしょうがないと結論づける。
そして彼の涙をハンカチで拭い、ふわりと微笑んだ。
『何かがあっても、辛くても、悲しくても。自分は大丈夫だ、って笑ってるの。
そうしたら、幸せはいつか来るんだよ』
すると彼は顔を赤くし、立ち去っていった。
小さい頃の私はそれが何故か分かっていなかったけど、今の私なら分かる。
きっと初めて女性と話し、胸が高鳴った瞬間だったのだろう。恐らく。
これが彼の心の壁を壊したのかは分からないが、支えにはなったのではないかと思っている。
現在の彼は全く笑っていないが。
「…どうした、A」
珍しく表情に表し、心配そうに眉を下げる焦凍を見て我に返った。
そうだ、今は焦凍のことよりも__焦凍には悪いが__私の死を回避しなければいけないんだった。
光を灯していない、焦凍の目を見て柔らかく微笑む。
『いいえ、何もなくってよ。
それよりも焦凍、やらないといけないことがあるのを思い出したの。悪いけれど、今日は帰ってもらえないかしら…?』
表情を伺いながらそう聞くと、やけに素直に頷いた。
そこにまた疑問を持ったが、今は深く考えず部屋に戻った。
終わり←.
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サリー - たまたま見させてもらったのですがと、轟ッ…!!ってなりました!!無理せず頑張ってください! (11月3日 19時) (レス) @page9 id: be7cfea392 (このIDを非表示/違反報告)
瑠愛(プロフ) - はじめまして!楽しく読ませてもらいました!全部見終わってうわー!!気になるー!と心が叫びました笑これからも応援してます! (2021年10月12日 23時) (レス) @page9 id: a61b3484b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひまた - お話楽しく読ませていただきました!!更新楽しみに待ってます (2020年8月2日 17時) (レス) id: 70a16b712e (このIDを非表示/違反報告)
クウ(プロフ) - 初めまして。面白いです。続きが楽しみです。 (2020年1月16日 21時) (レス) id: 0f4930ab02 (このIDを非表示/違反報告)
千燈篭(プロフ) - イケメンになりたい。さん» そうでしたか!!ただの勘違いで迷惑をかけてしまって申し訳ない……これからも頑張ってください!! (2020年1月9日 18時) (レス) id: d8fcfefed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2019年12月22日 20時