検索窓
今日:1 hit、昨日:16 hit、合計:70,334 hit

. ページ9

.





轟焦凍、ストーカー型。

メリバendでは比較的に安全な方だが、恐ろしいものは恐ろしい。



彼はヒロインの体重、身長、住所、更には家具の位置などの些細なことまで把握してる、度が過ぎたストーカーだ。









そんな彼が悪役令嬢(わたし)をストーカーしている。

いや、まだ確定とは言えないが、ほとんど決まっているだろう。









前の私が、どこかで道を間違えた。

これは確定だ。





本来彼がヒロインに好く理由は、自分の心の壁を壊してくれたから。



何せこれには心当たりがある。









私が5、6歳の頃。

公園で泣いている彼に、思わず声をかけてしまったのだ。









『そんなメソメソしていたら、幸せが逃げるよ』





「…しあ、わせ」

『そう、幸せ』









綺麗な目から宝石のような涙を流し泣く少年は、私を見上げていた。

まるで私に縋るように。









『私が思う幸せは、自分らしくいることだと思うの。

泣くこと自体が自分だとしても、それはダメ。泣いていたら余計幸せが逃げてって、辛くなるだけなの』

「…にげる つらくなる じぶん」









何度も私の言葉を繰り返す彼を見て苛立ちを覚えたが、子供だからしょうがないと結論づける。



そして彼の涙をハンカチで拭い、ふわりと微笑んだ。









『何かがあっても、辛くても、悲しくても。自分は大丈夫だ、って笑ってるの。

そうしたら、幸せはいつか来るんだよ』









すると彼は顔を赤くし、立ち去っていった。



小さい頃の私はそれが何故か分かっていなかったけど、今の私なら分かる。

きっと初めて女性と話し、胸が高鳴った瞬間だったのだろう。恐らく。









これが彼の心の壁を壊したのかは分からないが、支えにはなったのではないかと思っている。

現在の彼は全く笑っていないが。









「…どうした、A」









珍しく表情に表し、心配そうに眉を下げる焦凍を見て我に返った。



そうだ、今は焦凍のことよりも__焦凍には悪いが__私の死を回避しなければいけないんだった。

光を灯していない、焦凍の目を見て柔らかく微笑む。









『いいえ、何もなくってよ。

それよりも焦凍、やらないといけないことがあるのを思い出したの。悪いけれど、今日は帰ってもらえないかしら…?』









表情を伺いながらそう聞くと、やけに素直に頷いた。



そこにまた疑問を持ったが、今は深く考えず部屋に戻った。

終わり←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (198 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
375人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

サリー - たまたま見させてもらったのですがと、轟ッ…!!ってなりました!!無理せず頑張ってください! (11月3日 19時) (レス) @page9 id: be7cfea392 (このIDを非表示/違反報告)
瑠愛(プロフ) - はじめまして!楽しく読ませてもらいました!全部見終わってうわー!!気になるー!と心が叫びました笑これからも応援してます! (2021年10月12日 23時) (レス) @page9 id: a61b3484b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひまた - お話楽しく読ませていただきました!!更新楽しみに待ってます (2020年8月2日 17時) (レス) id: 70a16b712e (このIDを非表示/違反報告)
クウ(プロフ) - 初めまして。面白いです。続きが楽しみです。 (2020年1月16日 21時) (レス) id: 0f4930ab02 (このIDを非表示/違反報告)
千燈篭(プロフ) - イケメンになりたい。さん» そうでしたか!!ただの勘違いで迷惑をかけてしまって申し訳ない……これからも頑張ってください!! (2020年1月9日 18時) (レス) id: d8fcfefed1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2019年12月22日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。