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『あら、ではわたくしの勘違いだったようね。ごめんなさい。』
声のトーンは少し低く。
眉尻を下げ申し訳なさそうに。
綺麗に45度腰を折り曲げ謝る。
作法は女の武器ということで、幼い頃からお母様に教えてもらった。
そのおかげで、行動だけは淑女そのものである。
『ですが』
頭を少しずつあげる。
目線を少し下にずらし、見下すように、優越感に浸る彼女をしっかりと捉えた。
『わたくしの呼び方をどうにかなさい。わたくしにちゃん付けなど烏滸がましい。
目上の人には敬意を払えと親から習ったでしょう。』
簡単なことすら出来ないムノウだということは分かってはいたが、やはり頭にくる。
泣きも喚きもしない私に怒りを覚えたのか、彼女は反抗してきた。
「私はAちゃんを友達だと思って、ちゃん付けをしているんです!
それの何が悪いんですか?」
『…話を聞いていなかったのですか。
わたくしは貴方にとって目上の人なのです、友達などと気安く呼ばないでくださる?』
「!な、ぁッ…、っひく、」
「っおい!萌李!」
あー、出たでた。
すぐに泣くやつ。それでお姫様は王子様が庇うの。
…羨ましいな。
この前までは私がそこにいたのに。
「愛してる」
って、囁いてくれたのに。
『っ…』
泣くな。
泣いたら私が負けを認めたことになる。
認めてやるもんですか。
…でも確かに私は彼女にちょっかいを出していた。
それがなんだ。
私は負けず嫌いで、正しいと思ったものを譲れなかっただけ。
彼女に彼を任せたら、彼は確実に幸せになれない。
なんせ彼女は家事もできない、自分の身も守れない、学習もできない、気遣いもできない。
それプラス彼女はミーハーだ。
勝己様が本気で愛しているならば傷つくことになる。
言ってしまえばただの足でまといだ。
私は正しいと思ったことを貫き通しただけ。
後悔することはない。
絶対に。
『それではわたくしはこれでお暇させていただきますわね。
萌李様、酷いことをして申し訳ございませんでした。
____勝己様』
泣いている彼女の横に庇うように立つ勝己様を見て、ふっと笑った。
『彼女をきっと、お幸せに。』
その一言だけ言うと、私は教室をあとにした。
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サリー - たまたま見させてもらったのですがと、轟ッ…!!ってなりました!!無理せず頑張ってください! (11月3日 19時) (レス) @page9 id: be7cfea392 (このIDを非表示/違反報告)
瑠愛(プロフ) - はじめまして!楽しく読ませてもらいました!全部見終わってうわー!!気になるー!と心が叫びました笑これからも応援してます! (2021年10月12日 23時) (レス) @page9 id: a61b3484b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひまた - お話楽しく読ませていただきました!!更新楽しみに待ってます (2020年8月2日 17時) (レス) id: 70a16b712e (このIDを非表示/違反報告)
クウ(プロフ) - 初めまして。面白いです。続きが楽しみです。 (2020年1月16日 21時) (レス) id: 0f4930ab02 (このIDを非表示/違反報告)
千燈篭(プロフ) - イケメンになりたい。さん» そうでしたか!!ただの勘違いで迷惑をかけてしまって申し訳ない……これからも頑張ってください!! (2020年1月9日 18時) (レス) id: d8fcfefed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2019年12月22日 20時