ベタな展開をちょうだいよ ページ1
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目の前の光景を見たショックからか、「無領空処かよ」と思うような、処理しきれないほどの情報が流れ込んでくる。
頭が痛む程の膨大な情報量に頭を抱えこむ。
記憶が頭の中にスルスルと入ってくる。それは、映写機がスクリーンに映像を映すようだった。
呆れたように注意する母。その後ろで苦笑して必死に私を慰める父。私に笑いかけてくれる友達。
人物を映していたかと思えば、次は景色へとシーンが変わった。
赤色を無視したトラック。私に向かって叫ぶ友人。気づけば、目の前に迫っていた鉄の塊。
アスファルトに染み込んでいく紅が、周りの焦燥感を煽った。
私の上で飛び交う怒号に近いような叫び声と、必死に体を揺さぶる友人と、地面に落ちて消えていく透明。
友人の願いとは対に、体は重くなっていく。意識が遠のいて、人が一般的には最も恐れているものが、もう目の前まで来ていた。
(…あぁ、そうだ。確かにあの時、私は死んで、そんで────)
バチン!!と意識が覚醒する。
流れ込んできた記憶とは全く違う、息を止めてしまうような光景に、自然と体が震えた。
「あ、飴゙、アめィルぅ?あげ、あげ、アゲる゙ぅゥウゥウうぅう」
そう言って飴を差し出すのは、いくつもの目を付けた、ドロドロに溶けた化け物。例えるなら、まさしく水飴。
その姿はまるで私が最近ハマっていた漫画、呪術廻戦の呪霊のようで────、呪霊?
(………そういえば、よく見てみたら…似てるような…?
…ということはつまり、私が呪術廻戦の世界に転生したってこと!?え!!?)
────って、そんな呑気に考えている暇はない!今は逃げる事だけを考えなければ、
「ァ、ぁ、アレ?き、聞゙ご、聞コエてル?あ゙メ、め、飴゙、飴飴飴゙飴飴飴めめメメめメメ」
目の前の化け物に、ヒュッと喉から嫌な音がした。本能が感じる。
答えたら終わる。答えなくても終わる。
逃げれば終わる。逃げなくても終わる。
もう、「死」しか選択肢がないと。そう脳が叫んでいる。
あぁ、あぁ。ふざけるな。ふざけるなよ。せっかく転生したということが分かったのに、もう死ぬのか。早い。早すぎる。
(こういう時、夢小説では五条先生が助けることが多いけど…そんな奇跡、起きねぇよな。)
あぁ神様仏様。どんなに雑魚い呪術師でもいいので助けてください。じゃないと私、死────
「…お、おモ、面白くナ゙い。コロ、殺゙そオ!」
────暗転。
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狐(プロフ) - 初コメです!失礼します!夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか!?吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです!めちゃくちゃ応援します!更新頑張ってください! (12月30日 3時) (レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…!!続編いつまでもまってます! (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めっちゃ好きです…!!パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます!! (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時