本能・6(終) ページ24
「……伊野尾ちゃん……あがって」
「……おじゃま、します」
いつもよりもかなり集中して収録に挑み、思った以上に早く、やまだの家に向かうことが出来た。
頑なに拒まれていた、やまだの部屋。
ピンポンを鳴らせば出迎えてくれて、あがらせてもらう。
すごく、物の少ない、部屋。
シンプルで、大きめなソファとローテーブルがあるリビング。
テレビも置いてある。
ラックのとこ、あれ、JUMPのCDだなぁ。
見当違いのことを考えながら、座ってて、って言われたので、ソファに座らせてもらった。
なんだか落ち着かないよ。
「伊野尾ちゃん、ココアでいい?」
「あ、うん、ありがと……」
キッチンのやまだに聞かれて慌てて頷く。
少しすると、コップを2つ、持ってきてくれた。
渡されて、ありがと、と一言言って。
やまだもおれの隣に座る。
その後の会話はない。
何て切り出したらいいのか分からないし、どうしてこんなに緊張してるのか分からないくらいで、手も若干震えてて。
でも、切り出さなきゃ。
話しかけなきゃ、始まらないから。
「やまだ、あの……聞きたい、ことが……」
「……うん。
いいよ。
もう、覚悟したから」
覚悟……?
何の、覚悟なんだろ。
……でも、それより今は。
「おれに、隠してること……ある、よね……」
「……うん。あるよ」
「っ、」
はっきり肯定されて、ショックを受ける。
やっぱし、そうなんだね。
続きを促そうと思うけど、でも勇気が出ない。
だけど、1つため息をついてから、やまだは話し始めてくれた。
「前も、話したと思うけど。
俺は一族の末裔で、純血の吸血鬼だ。
俺の血を合意の上で飲めば、その人間は吸血鬼になれる、って……」
それは、聞いた。
だからおれは吸血鬼になることはないから、安心して、って。
それがどう関係あるのだろう。
「吸血鬼が人間を変える時は理由がある」
「理由……?」
「…………その人間を…………愛した時だ」
ドキ、と心臓が鳴る。
思わずやまだを見つめるけど、やまだは真っ直ぐ前を見据えてる。
おれの方は見ない。
「俺の容姿、自分で言うのもあれだけどかなり美しい方に入るだろ。
それは、人間を誘惑し血を飲むのに都合がいいからなんだ。
だから、最初は人間と同じように成長するけど、それは俺が最も美しく見える時期になると止まる。
吸血鬼の寿命は、人間よりも遥かに長いから」
何でもないことのように、やまだが衝撃的なことばかり告げる。
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りりた(プロフ) - ひぃψ(`∇´)ψさん» ありがとうございます!完結状態でしたのでまだお読み頂ける方がいらっしゃってすごくうれしかったです!コメントも頂けて、また本能シリーズ、機会があれば書きたいなと原動力になりました(笑)本当にありがとうございました! (2017年11月2日 18時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» ありがとうございます〜!自前猫耳だった音楽番組の日を混ぜてみましたが、汲み取って頂けて嬉しいです(笑)誘い受けは書くのが難しいなと勉強になりました…。また、本能シリーズ書けたらなと思いますwありがとうございました! (2017年11月2日 18時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃψ(`∇´)ψ(プロフ) - 本能シリーズ本当大好きです!更新通知見て嬉しくてコメしました。いやーいい!ありがとうございました(o^^o) (2017年11月1日 7時) (レス) id: 510a5838d9 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - お久しぶりですー!またこの二人に会えるとは!しかもあんなせくしーな吸血鬼とか!山田うらやま!想像だけで震える(危)いのちゃんが君のものだなんて!…あの自前猫耳の破壊力凄かったですよね( ̄▽ ̄;)ビバハロゥイン♪ (2017年11月1日 6時) (レス) id: 71f7ba549b (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» 夏夢さんお久しぶりです〜!コメントありがとうございます!そーだそーだ、楽しんじゃえー( ̄∇ ̄)えへへへ、コメントほんと嬉しいのでどんどん絡んでください(笑)ほんとにありがとうございましたー(*^ω^*) (2017年7月10日 23時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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