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「でも、さっきも切り方とか結構危うかったし、包丁で怪我したりとか心配だしさ……」
「ふふ、何それ、子供じゃないってば」
「さっきのコメくっつけてんの見たら安心出来ないって」
「うっ、うるせぇよ」
「ね、１人で作るのはさ、もう少し落ち着いてからでも良くない？
せめて俺が戻ってから、」
「……でも、早く１人でも作れるようになっとかないと……」
「え？」
「だって、そうでしょ？
……やまだと、ずっと一緒に暮らしていくわけにもいかないんだし」
伊野尾ちゃんの言葉に、ヒュッと息を呑む。
言葉が出なかった。
突然冷水をかけられたような気分だ。
さっきまで弾んでいた心が一気に冷えていく。
伊野尾ちゃんの言うことは正しい。
そうだ、このままずっと暮らしていくことは、確かに難しい。
だけど。
「……おれ、やまだと一緒にご飯作るようになって思ったの。
やっぱし、作ることって時間かかるし大変なんだなって。
やまだにおれの分まで作らせて迷惑かけて、そんなずっと負担になるようなことさせられない。
ちゃんと覚えて、それで１人になった時ちゃんと出来るように、」
「それってさ……伊野尾ちゃんは、俺とご飯作ること、いつか離れるための準備みたいに思ってたってこと？」
「ッえ……」
思っていた以上に低い声が出て、伊野尾ちゃんの表情が強張った。
冷えた心に、フツフツと怒りが沸き上がる。
「伊野尾ちゃんの分まで作らせて、ってどういう意味？
俺が伊野尾ちゃんのご飯を嫌々作ってたと思ってんの」
「ち、ちが、そういうことじゃなくて、」
「そういうことだろ」
「ッ……」
裏切られたような気分だった。
そして気付く。
伊野尾ちゃんのご飯を作るのは、もう俺の生活の一部のようになっていて。
伊野尾ちゃんが食べて、笑って美味しいと言ってくれることが嬉しくて。
最近一緒にご飯を作ることが増えて、俺は、伊野尾ちゃんも楽しんでくれてるからだって思ってた。
でも、伊野尾ちゃんはそうじゃなかった。
俺に迷惑だとか負担だとか、そんなことばかり考えて。
俺の作ったものを、申し訳なく思いながら食べてたんだ。
ご飯を俺と作るのも、いつかここから去っていく日のために。
その準備のためだけのことで、心から楽しんでくれていると思ったのは、俺の勘違いだったのか。
俺は、迷惑とか１度も思ったことなかった。
冗談を言い合いながら過ごす伊野尾ちゃんとの時間が楽しくて、もっと続けばいいと思っていた、のに……。
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りりた(プロフ) - shootingstarhapさん» ずっと応援していただきありがとうございました。コメントがとても励みになっておりました。長いこと更新を停めてしまうこともあったにもかかわらず、本当に嬉しかったです。少しでも、楽しんで頂けたなら幸いです。本当にありがとうございました！ (2020年6月16日 18時) (
レス) id: bd2ed28c98 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新心待ちにしていました…！嬉しいです！今回もボロボロに泣いてしまいました…伊野尾さん、食べれて良かったです…。本当に良かったです。素敵なお話しありがとうございます！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！皆の所に元気に戻ってきてくれて本当嬉しいです！りりたさんのお話しまた楽しみに待っています！ (2019年11月11日 16時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - やっと思いが通じ合って嬉しいです。大好きな作品です。切なくてもどかしくてどうなるのかと思ってましたけど嬉しい展開でまた好きになりました。いつもありがとうございます。 (2019年6月30日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - りりたさんの更新待ってました！お忙しい中ありがとうございます！(^-^)本当良かったって最新のお話し見て物語に入り込みすぎてて泣いてしまいました…。りりたさんのお話しは本当素敵でよく泣いてしまいます。またお話し楽しみに待っています(^-^) (2019年6月30日 16時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
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