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『DREAM AUDITION』〜天祥院英智〜 ページ7





お気に入りの紅茶を一口飲む。

コップを置いて、書類に目を通したところで

控えめなノック音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼します」


僕がいる、この生徒会室に入ってきたのは

現在プロデュース科の女の子、あんずちゃん。


「先程の件で、ご報告に来ました」

「ありがとう。でも、そんなに固くならなくていいよ」


腕を組んで、ふふっと笑って言う。

それでも彼女は「仕事ですので」と返してきた。

相変わらず、真面目な仕事人間の様だ。


「彼女達を……緑川Aさんと佐倉花純さんを

『英智さんの指示通り』、スカウトしました」

「ご苦労様、それで、答えはどうだった?」


あんずちゃんの返答を待つ。

その長い間が、答えなんだろう。


「……なるほど、まさか断られるとはね」

「……私も思ってました、断ることはないと」


彼女は、自分の失態だ、と言わんばかりに語る。

プロデュースの話を持ちかけた時、Aさんは

真っ先に自分を推薦した花純さんへ勧めたそうだ。

あんずちゃんとしては、Aさんを徹底的に立てたはずだったのに。


『あんずさんの仰ってることはよく分かります

でも、私がここにいるのは、彼女のお陰なんです』


花純さんが諦めず、最後まで協力してくれたお陰だと。

だからAさんは、花純さんを押した。

けどその花純さんは、自分だけいい思いはしないと

Aさんの推薦を断り、あんずちゃんは方針を変えた。

『二人で一緒なら、どうでしょうか』と。


「……彼女は賢い方です、すぐに見抜かれてしまった」


『……目的はなんでしょう?』


その言葉に、あんずちゃんは戸惑ったらしい。


『花純を囮に、私を引き込もうとしてませんか?』

『その理由は、話題作りじゃありませんか?』

『少しでもその思いがあるのでしたら、お断りします』


「プロデューサーとして多忙になれば

自分の本職に支障をきたすので……と」

「それで、何も言えず帰ってきたの?」

「……申し訳ありません」


深く頭を下げるあんずちゃん。

大丈夫だと言いながらも、少しばかり反省した。

彼女を過小評価しすぎていたようだ。


「けど、僕は諦めないよ、あの子はうちに必要だ」

「……何故、そこまで固執するんですか?」

「主には話題作り、ついでに才能の利用価値があるから、かな」


立ち上がりながら、あんずちゃんに答える。

窓の方を向いて、大丈夫だよ、と言った。


「最悪のケースを考えて、手は打っている」


あの磨く前のダイヤモンドは、誰にも渡さない。


あの子は、『夢ノ咲学院(うち)』がもらうよ。

くれぐれも内密に(1)→←『DREAM AUDITION』(5)



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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません!コメントありがとうございます!これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります! (2018年11月7日 22時) (レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます!これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね! (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます!!これからも頑張ってください!! (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:莉緒(天愛宝) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月11日 2時

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