検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:61,630 hit

前途多難(3) ページ16





「そうか、それであんなに大騒ぎしてたんだな」


そう言ったのは、夢ノ咲学院の保健医の佐賀美陣さん。

職員室に案内され、佐賀美さんが席に着くでは半信半疑だったけど。

それもこれもこの人の容姿が、私の知る限りでは『先生』ではなかったからだ。

まぁ……その事はあえて口には出さず、ひとまず私は頭を下げる。


「いいっていいって、俺じゃなかったらやばかったけどなぁ……特にあそこのあきやんだったらな」


そう言いながら、メガネをかけた茶髪の人を指さす。

気づいたらしいその人は、小さくため息をついてこちらに歩み寄る。

レンズ越しの目は想像以上に厳しく、つい体を縮こませた。


「まったく、他の生徒にいい迷惑です。……その人は迷惑に思ってないようですが」


あ、レオ君だったか。私も言われてるけど。

呑気なこと思いながらレオ君を見る。相変わらず作曲中。

職員室でさえ変わらぬ彼の対応に、もう何だか色々域を超えて脱帽しそうだ。


「……緑川さん、聞いてますか?」

「あっ!すいません聞いてませんでした!」


突然椚さんに呼ばれて、直立不動な形になる。

それをみた佐賀美さんは、盛大に吹き出して笑う。


「なんだよそれ、素直なやつだな〜」


あ、この人笑うとめちゃくちゃかっこいい。


「はぁ……人の話は最後まで聞きなさい」


この人はなんか、伏せ目がちにするといい。

さっきも教室の横通った時生徒さん見たけど、誰も彼もかっこよかった。

……やっぱり、アイドル科なんだな。


「では、あなたの書類は全て確認させていただきます」

「は、はい!これから、よろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくお願いします、『プロデューサー』」

「ぷろでゅーさー……」


そうだった。私、プロデューサーになるんだ。

練習したとはいえ、歌もダンスもあんなんで、大丈夫かな。

……っていうか、私オーディション落ちた身なのにここにいていいのだろうか。

どうしよう、なんか色々不安になってきたかも……。


「あっ!」

「どしたー?もう帰っていいぞー」

「あ、ありがとうございます。でも、最後に私の『先輩』に挨拶していいですか?」


そうだ。私より先に入った『プロデューサー』がいるじゃないか。

その人にある程度やり方聞ければ……!


「あー……その事なんだが……」


頭をポリポリとかいた佐賀美さんが、そういってお茶を濁す。

すかさず椚さんが、やれやれといった調子で告げた。


「彼女は今、入院中なんです」

「……え、」

前途多難(4)→←前途多難(2)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (149 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
481人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 瀬名泉 , モデル
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません!コメントありがとうございます!これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります! (2018年11月7日 22時) (レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます!これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね! (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます!!これからも頑張ってください!! (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:莉緒(天愛宝) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月11日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。