４２、勝手な話 ページ42
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本当は気づいていたんだ。
｢『ぼく』、言ったよね？｣
けど、それに目を背けていた。
｢『お姉ちゃん』は、ぼくだけの『お姉ちゃん』だって｣
とてつもない独占欲を向けられてることに。
｢『お姉ちゃんはお姉ちゃんでいて』……って｣
唯一の理解者(姉)に、依存しきっていることに。
｢……おっと、そろそろ家が近いね｣
｢……桜咲｣
｢ここまででいいよ、ありがと！｣
桜咲は、自分の道と俺の道の分離地点に立つ。
いつの間にかツインテールにした金色の髪と
花柄のスカートを翻し、笑った。
｢安心して、『A』は私が守るから｣
桜咲の後ろから照りつける夕日が
こちらから見える桜咲に、影を落としていく。
それを見てしまえば、もう何も言えなかった。
桜咲の瞳が、死んだように凍りついていたから。
『AがAじゃ、なくなるまえに』
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｢―――で、ここはこの解き方を……｣
黒板の前に立つ先生の声が、遠くに聞こえる。
大抵夢の中へ入りかけてるせいなのだが
今日は少しちがって、あの日を思いだしていた。
｢はぁ……｣
思い出してはため息……の繰り返しだ。
あの後、何度かチャットしてみたけど
予想通り、全く帰ってこなかった。
既読ついてから見てるとは思うんだけど。
｢……大丈夫かよ、あいつ｣
あんなに酷くなってるとは思わなかった。
あの日、一日中笑っていたから油断してた。
桜咲の異変に、気がつけなかった。
―――俺の、責任だ。
｢桜咲……｣
｢桜の季節は終わったぞ、水川｣
｢へっ？｣
我に返って、声に気づいて顔を上げる。
もちろん、めちゃくちゃお怒りの先生が見える。
その瞬間、口端の痙攣が起こる。
やべぇ、こっちにも全く気づいてなかった。
すごい呆れた顔されて、乾いた笑い声が出る。
｢ほら、さっさとやれ｣
そして顎で使われる始末、仕方ないけど。
渋々立ち上がって、黒板の前に出た。
白い数字の羅列に、ふと思い出す。
『数学ってさ〜、答えがあるから好きなんだよねぇ』
数学の教科書を眺めて、笑う桜咲を。
素直に笑っている、桜咲の表情を。
｢……問題じゃねぇから、答えがあり過ぎるんだよ｣
散々教えこまれた二次関数の解き方が
自然と手を動かして、答えへと導かれる。
｢おお、珍しいな。正解だ、座っていいぞ｣
先生の声を聞きながら、自分の席に戻った。
本当の問題の答えなんて出せないまま。
｢……A｣
瀬名の視線にも、気付かないまま。
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nekosugi - 色んな作品楽しみにしてます！！ (2018年3月29日 18時) (
レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - nekosugiさん» 是非！よろしくお願いします！ (2018年3月28日 1時) (レス) id: a945d15bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 私もせなくん好きですよ！もしよかったら友達になりませんか？ (2018年3月21日 21時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - nekosugiさん» 私は元真緒くんでしたけど、今は瀬名くんです！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: a945d15bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 莉緒さんは、あんスタで誰が好きですか？ (2018年3月3日 15時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
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