１２、真面目な回答 ページ12
・
あんずを誘ってから数十分。
昼飯を食べ終えて、しばらく話を聞いていた。
涙の理由と言えば、俺との会話の中で
『サマーライブ』のことを思い出したらしい。
『Eve』にライブを乗っ取られたような形になった。
その話は、人伝に聞いてはいたけど
あんずに大打撃……とまでは知れていなかった。
分かってたからもう少し言葉を選べたんだが。
｢……それで、『Trickster』のみんなには
本当に申し訳ないと思う日々なんです｣
ティーカップを両手で覆うように持って言う。
そんなあんずに、気の利いた言葉が見つからない。
3人の静寂を切って、羽風がカバーする。
｢たまたま都合が合わなかっただけなんだし
次から気をつける……で、終わっていいんじゃない？｣
心配して言ったはずの羽風の言葉を、頭を振って否定するあんず。
｢『Trickster』の仲間になる、なんて言ったのに……｣
さらに自虐的な言葉を並べ、自分を責める。
そんな姿が、『俺のよく知る人物』と重なった。
｢……そんなに自分を追い込むなよ｣
今、その人に言いたいこと。
あんずに対してなら、言えるだろうか。
｢次はミスしてはいけない、なんて言ってやっても
肩に力入って、結局また同じことの繰り返しだ｣
やっていることに『自分』と言うものがなければ
それは『束縛』されているのと同じことだから。
自分の人生の主役は、自分しかいない。
なら、自分がすることも、自分が主役でなきゃいけない。
｢今のお前は、主役が『Trickster』の状態だ
いまのままじゃ、将来あいつらを恨むことになるぞ｣
そう、それが例え、大事な人であろうとも。
――――――それが、『親』であろうとも。
｢……水川、先輩？｣
あんずの呼ぶ声が聞こえ、我に返る。
二人を見ると、恐ろしいものを見たかのような顔だった。
｢な、なんつー顔してんだよ、お前ら｣
｢いやいや、こっちのセリフなんだけど｣
……ですよね。
ちょっとだけ私情が挟まったからか、マジになってしまった。
今の『俺』らしくないこの感情には
蓋をして、何処かにしまっておこう。
｢ま、そういうこった！｣
不穏な空気を消そうと、ニカッと笑う。
二人はホッとしたのか、笑い返してくれた。
｢Aくんでも真面目なこと言うんだ｣
｢でもは余計だ｣
｢だってめんどくさいってよく授業いないから｣
｢いやお前にだけは言われたくねぇよ｣
そんなコントをかましてると、あんずが小さく微笑んだ。
その笑顔が、無理してる表情じゃないといいな。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nekosugi - 色んな作品楽しみにしてます！！ (2018年3月29日 18時) (
レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - nekosugiさん» 是非！よろしくお願いします！ (2018年3月28日 1時) (レス) id: a945d15bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 私もせなくん好きですよ！もしよかったら友達になりませんか？ (2018年3月21日 21時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - nekosugiさん» 私は元真緒くんでしたけど、今は瀬名くんです！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: a945d15bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 莉緒さんは、あんスタで誰が好きですか？ (2018年3月3日 15時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
