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四問目 ページ7







口が滑った。
放課後の教室、一人今日の復習をしている私はため息をついた。


童貞、だなんて言うべきじゃなかった。
わざと相手の反感を買うような言い方をするなんて、非合理的にもほどがある。




煽ったところでメリットはないのに。余計なことを言ったかな。




シャープペンシルの尻を唇に押し当てる。それでも、下品な男子の話題の餌にされたことは大変不機嫌だったことは確か。


私は悪いことしてない。そう自分を無理に納得させると参考書に目を滑らす。数字を頭に入れ、公式に当てはめていく。









すると不意に教室の後ろの戸が安っぽい音を出しながら開けられた。
反射的にそちらに視線を寄越すと、そこにいたのは松野おそ松だった。

相手は私と視線を合わせると、心底嫌そうに「げっ」と吐き捨てた。こちがゲッだっつーの。







「...つまんない生き方だな」



こちらにズカズカよ歩み寄ってきた松野おそ松は、私と私が解いている参考書を交互に見て、聞こえるか聞こえないか程度の小声でそう呟いた。





私はそんな松野おそ松を睨みつける。そして松野おそ松の全身に視線を移し、すぐに反らす。
相変わらずの赤いパーカーは気に入らない。






「そっちは馬鹿な生き方じゃん」





そう言い返す。おそ松がこちらを睨みつけているのが気配で分かった。
すると、机に人の影が落ちてきた。手元が陰で覆われる。



上を向くと松野おそ松は私の正面まで回ってきていた。





「そんなダサい格好して、人生生きてりゃどうにでもなるんだし、もっと弾けたらいいのに。
 どうせ彼氏とかもいないんだろ」

「心外。どうせ生きるなら賢く生きたい。それに、彼氏がいるとかそういうので私の人生に口出しするな」




シャープペンシルの先を松野おそ松の目の前に突き刺す。
可愛くねェ女、と松野おそ松は言ったが、別にお前に可愛いと思われても嬉しくないと思う。






「恋愛しない人生なんて、つまんねーのな」

「...お前の価値観なんか知らない。それに私は恋心とか理解しようとは思わない。理解したことないし」







松野おそ松はへぇと言った後、何かをたくらんでいるような怪しい顔つきになった。
細く微笑む松野おそ松はこちらにそっと手を伸ばす。







「人はキスをしたら相手を好きになるって、知ってた?」


松野おそ松の親指が私の唇に触れた。
かさついた自分の唇に触れる異物に、私は思わず眉をひそめたのであった。









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さっきゅん - 面白いです!更新待ってます! (2018年2月12日 9時) (レス) id: eda7096c6e (このIDを非表示/違反報告)
!! - おそ松さんは特に好きでは有りませんが面白そうで続きが気になってしまいます。僭越ながら読ませていただきますね。なんか上から目線っぽくてすみません。 (2018年2月5日 0時) (レス) id: b5ffa42208 (このIDを非表示/違反報告)
青歌 - うおぉ!まま松さんの新作だ!楽しみが一つ増えてしまった…笑がんばってください!! (2018年2月2日 23時) (レス) id: fb0e3e82b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まま松 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月2日 21時

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