1話 ページ2
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放課後の教室で。自分の席に座り、クラスメイトがグラウンドで部活動に勤しむのを横目に私はノートにペンを走らせる。
窓から差し込む夕焼けは、手元の文字をしっかりと照らしてくれている
野球部の威勢のいい掛け声も、たまに吹く風の音も。全部心地の良いBGM。勉強をするには最適の場所だ
びっしりと数式が並んでいる参考書のページをめくり、私は問題を解きはじめる。
私の名前は鈴木A。性格は人に良く真面目と言われる。言ってしまえば、つまらない人間。
私はいつも、放課後のこの時間勉強をしている
私は定期テストで学年1位の学力を誇っている
それも、私には勉強しかないからだ
友達はいない、趣味は読書。得意な事は勉強。休日は勉強か読書。
ずーっと、勉強しかしてこなかった
勉強をすれば、必ず結果として返ってくる
___ガラッ
大問3の(4)の数式を解こうとしていた瞬間、教室のドアの開く音がした
誰だろう。と思っても顔はあげない
目が合ってしまったら気まずいじゃないか。
ていうか、放課後に勉強している根暗だと思われたかもしれない。
別にいいけど。
ともかく気にしないことを誓った私はまたシャープペンを走らせる
複雑な計算式。これは少し手強いかもしれない。応用問題か。あ、ここを展開すれば。
心の中で何度もつぶやきながら、問題を解いていく
もう少しで解けそう_____
そう思った瞬間、ガタンと机が揺れた。
ドクン、と心臓が大きく鳴って走らせていたシャープペンの動きを止めた
視線だけをわずかに動かすと、私の机に何者かの足が乗っていた
机で脚を蹴られたのだとようやく理解する
顔を少しずつ動かしてその足の持ち主を見てみれば、私は顔をしかめた
_____松野おそ松
松野おそ松は私の隣の席の机に腰を下ろし、片方の足を私の机に乗せていた
赤いパーカーを着用し、制服を着崩してる
せっかくの心地よいBGMが、この雑音のせいで台無しだった
「放課後もお勉強?ごくろうさんだね、委員長」
にやりと口の端を吊り上げる松野おそ松。
普段なら、デレデレした締まりのない顔を女の子たちに見せるのに。彼は私にだけ、こんな気味の悪い笑顔を見せてくる
まるで、悪戯を企む悪童のような
嫌な笑顔を
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虹色人間(プロフ) - ストーカーって意味一つじゃなかったんだぁ……石炭をくべる係www (2017年5月3日 12時) (レス) id: 19af9aba03 (このIDを非表示/違反報告)
弱井(プロフ) - うわぁぁあぁっ!!続きが気になります(*´ω`*)更新、楽しみに待ってます! (2017年4月22日 21時) (レス) id: 156be97d0d (このIDを非表示/違反報告)
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