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「これさ…俺が間違えて持ち帰ってたみたいで。
ほら、A明日使うから今日中に渡さなきゃ、と思って」
そう言って彼が私に手渡したのは、私が探していたもの。
「そうだったんだ…ありがとう。
でも、来る前に連絡寄越してよね」
それを受け取る。
キヨには触れるな、と念じた。
「ごめんごめん、渡さなきゃってことだけ考えてたからそこまで気が回んなくてさ。
っていうかA、彼氏いたんだ?」
私の願いは3秒で打ち砕かれた。
「まぁ、ね……」
恩のある彼に嘘をつくのは気が引ける。
一方彼は、私の歯切れの悪い返事が引っかかったようだった。
「なんだよ、水臭いな。言ってくれればいいのに。
最近あったいいことって彼のことだろ?少しずつ立ち直れてるみたいで安心したよ」
ダメだ、やっぱり嘘はつけない。
「彼との関係は少し複雑でね…ごめん、詳しくはまた今度話す。明日の昼ご飯にでも」
彼氏なら彼氏と言えばいいのに、とでも言いたげなのはひしひしと伝わった。
今ここで彼氏と言うよりはペットかな、なんてあっさり言おうものなら折角持ってきてくれた資料に手をつけられずに終わる。
「…分かった、何か込み入った事情があるんだね?
とりあえず今日はもう遅いし引き上げるよ、また明日」
「うん、ありがとうね。また明日」
ドアを閉めると、どっと疲れが押し寄せてきた。
「会社の人に、俺の事なんて言ってるの?」
「なんとも言ってない。だから焦った」
「彼氏、でいいじゃない」
「嘘はつけない。」
私のきっぱりとした言い方に、キヨはぴくっと反応した気がした。
「変に律儀だね」
「まぁ、明日ちゃんと説明するってことで帰って貰った。私がいる時は、私が出た方がいいね。インターホン」
私は明日のフジへの説明について考えるのに頭がいっぱいで、キヨの顔が曇っていることには気づけなかった。
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なみの - おわああああああ尊すぎる!!最高!天才! (10月10日 20時) (レス) @page47 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - ぴーなつここなつさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。お楽しみいただけたようで何よりです。読んでいただきありがとうございました! (2022年1月6日 18時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつここなつ - 読む事が止められないです…! (2021年10月25日 15時) (レス) @page47 id: 5cb3497c96 (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - きゅうりさん» 勿体ないお言葉ありがとうございます…!楽しんでいただけたようでなによりです! (2021年3月8日 23時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - とっても面白かったです、、、文才ありすぎです、、、、 (2021年3月8日 23時) (レス) id: 6118eb0aad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美織 | 作成日時:2021年2月6日 21時