39日目 ページ39
暗い部屋の中で、一人膝抱えて考えていた。
受け止めるなんて、どうすればいいんだろうか。
彼らのことを、私は幸せになんてできない。
でも、彼らが私のことを好きでいることと、それが報われないことに、全ての不幸がリンクしてしまって。
そんなことを悶々と考えていれば、扉がノックされた。
ふらつく足取りで扉を開けた。
『…鬱』
「疲れてるとこごめんな、少し話したいんやけど、ええ？」
『…いいよ』
彼を部屋に招き入れれば、真っ先に部屋の電気をつけられた。
驚いて彼の顔を見れば、ただただ優しく微笑まれた。
いつもなら、電気を消して、無理矢理に求めてくるのに。
彼は私の手を引いて、1番近くにあったベッドに腰掛けたと思うと、抱き締めてきた。
『鬱…？どうしたの、なんか、変だよ』
「ごめんな、ほんまに、でも、最後の最後やから、許してや」
『…？』
「…Aは、俺らのこと、受け止められへんやろ」
『…』
「ええねん、仕方ないねん、そんなの…だからな、せめてものお願いに来てん」
『お願い…？』
そう、と彼は一言零してから、私のことを離した。
よくよく見ればその目は腫れていて、泣いた後がくっきり残っていた。
また、胸が締め付けられる。
私は、何で彼らを愛せなかったんだろうか。
いや、愛していたんだろう。
でも、彼ら以上に愛してしまう、そんな人が一人いただけなのだろう。
「…兄さんからも、少しは聞いたやろ、この輪廻を終わらそうって」
『…うん』
「Aと会うのは何回目なんやろな、俺はうっすらとしか覚えてへんから、トンちに聞いてから、やっと君のこと思い出したくらいや」
『私、鬱とどっかで会ってたの？』
「会ってたで、何百年も前から」
『…？』
「何回も生まれ変わって、その度に、俺らはAに出会って、Aはぴくとさん追いかけて、俺らは無理矢理それを阻止して、まあ、拒絶されたんは今回が初めてやけど」
彼は自虐的に笑ったかと思うと、ゆっくり、私の顔にその顔を近づけてきた。
キスをされるとわかれば、反射的に顔を後ろへと下げて、彼の口を手で塞いだ。
確かな、明らかな拒絶だったのに、彼はそれを見て、悲しそうに、しかし嬉しそうに笑った。
「Aが、そんだけちゃんと、自分の気持ちに素直になれるんやったら、誰も何も言えへんよ」
『…ごめん』
「謝らんで、だけど、お願い聞いてや」
全てが終わることを、悟ったように。
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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (
レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません！書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです！他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません！走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです！他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました！ 本当に好きです！ (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…？感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そういろね | 作成日時：2019年4月9日 19時
