19日目 ページ19
「受験番号2512番」
『…あ、はい!』
「総統様方がお呼びだ、失礼のないように」
『そ、総統様…?』
やっと試験が終わったかと肩の力を抜いていた時のことだった。
周りは男性だけ、当たり前のことかもしれないが、やはり、女で軍兵になろうなどと考えるのは私くらいらしい。
でも、私だって、この推薦の話がなかったら兵なんて全く関係のない話だと思っていた。
しかし、今。
私なんかを軍人学校に推薦してくれた政府のトップである、総統様がわざわざ私を呼び出したのだ。
『…あ、あの…』
「っ…」
『あ、は、初めまして!この度は推薦を頂きありがとうございました!』
「…いや、そんな感謝されるようなことじゃない、顔を上げてくれ」
『は、はい…』
最初から、端の方で見ていると思ったが、この人が総統様だった。
目が合って会釈すれば、いつも顔を背けてしまうから、嫌われているのかと思ったが。
女の兵なんて、男の兵よりもそりゃ役に立たないだろうし。
でも、正真正銘、この人が私を軍人への道へ推薦してくれたのだ。
「…いや、うん…これはあかんわ、うん…」
「…こんな男だらけのとこにこの子置いといていいんですの、グルッペン総統」
「流石トントン書記長、私の考えと同じ考えじゃないか」
「…これから毎日この子の顔見れるん?あかんわぁ、勃ちそ」
『…?』
そのすぐ後のことだ。
彼らに、学校ではなく、本物の軍で学ばないかと、これ以上ないお誘いをしてもらったのは。
戸惑ってしまったが、それほど期待してもらっているのだと考えたら、断るわけにもいかず、それから私は軍で新米兵として学んだ。
「…前線出したくないわ」
『え』
「Aが死んだら俺耐えられへん、俺もあと追ってまう」
『いきなりですね…嬉しいですが、私欲での決定はあまり良く思われない気がしますが…』
「いや、それはあいつらも同感だろうな、しかし、Aがここにきてもう半年だ、戦闘も作戦の思考力も十分だろう」
軍の育成。
それが私に任せられた大切な役だった。
主に新兵の基礎的な技術から応用の実践力までを指導する。
1から100まで私が教えるのだ。
大役も大役。
彼らの支えもありながら、私は軍の指揮官として幹部にまで昇格した。
そんな充実した人生に、さらに花が添えられるのだ。
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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません!書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません!走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました! 本当に好きです! (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…?感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月9日 19時