20日目 ページ20
『わっ、ぁ、あっ…!』
充実したとは言えど、幹部の過保護っぷりは凄いものだった。
外に出る時は、必ず顔が見えないようにしなければいけなかった。
その日は暑かったので、帽子を深く被り、城下町で休暇の遊びがてらおつかいをしていたのだが。
前がまともに見えないもので、それに、恥ずかしながらかかとが少し高い靴を履いていたものだから、転びながら、腕に抱えていた沢山の荷物も宙を舞った。
「おっ、と…大丈夫ですか?」
『え、…あ、はいっ、すみませんっ…!』
「あとこれ…っ、すみません、半分持ってもらってもいいですか?」
白い服に身を包む男性に支えられ、荷物まで助けてもらった。
彼は流石に片手でその荷物を抱えるのはしんどかったようで、苦笑いしながら私にそう言ってきた。
中身を整理するため、私は彼に運ぶのを手伝って貰いながら路地裏の方でせっせと片付けをした。
彼は、暗いところに女性1人は危険だからと、去るのではなく、中身の整理を手伝ってくれた。
『本当にすみません、ありがとうございました…!』
「いえ…えっと、あの」
『?、はい』
「その、何でそんなに帽子を深く被ってらっしゃるのかなぁと…日射病とかですか?すごく気になってしまって…」
『あ、いえ、これは少し、その、仲間…?家族との約束で…あまり顔は人に見せないように、と言われてまして…』
「随分過保護なんですね」
『ええ、本当に…あ、すみません、助けていただいたのに、顔も見せず…!』
目も合わせずにお礼を言われたところで嬉しくなんかなかっただろう。
急いで帽子を取り、汗ばんだ額についた髪の毛をなおして、彼を見上げた。
すると、先ほどは良く見えてなかったからか、彼の顔が異様に赤くなっているように見えた。
暑さにやられてしまったのだろうか。
「…ぇ、っと…」
『あ、日陰とはいえ暑いですもんね、良ければ…これどうぞ』
「え、あ、いや…!」
『美味しいって評判のアイス屋さんのアイスなんです、溶けちゃう前にどうぞ』
「…」
『それじゃあ、私そろそろ行きますね、本当にありがとうございました』
「え、あっ、あの!」
『はい』
「お、お名前、教えてもらえませんか…」
『…Aです、貴方は?』
「ぴくと…ぴくとって言います」
これが、私と
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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません!書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません!走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました! 本当に好きです! (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…?感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月9日 19時