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浮気三昧の大学生活。
形は違えど、小学校の頃から、この誤魔化し方は変わっていない。
好きな子には意地悪しちゃう子供の心理と一緒で、好きだからこそ、興味のないふりをしてしまう。


「脚綺麗やわ、あの子」

「今月何人目やねん、先週フラれたばっかりちゃうんか」

「あ、やばいわ、あの子の髪凄い好み」

「もうリカちゃん人形でも舐めとったらええんちゃう?」


トンちの辛辣な言葉はあまり聞かないようにしている。地味に心に刺さる。
そしてそれが正論すぎて言い返せない。
でも、どちらかといえば、トンちも僕と同じタイプで、そこまで攻めるような感じじゃなく、遠くから見守り、変な虫がついて来たら守る、騎士みたいやな。
でも、僕ら全員、変な虫が寄ってこおへんように、Aを守るのが理由のようなものだから、あながち間違いではないのだが。


「A、あーんしてや」

『ん』

「…何でそんな恥ずかし気もなくやんねん、あーん…」

『なんか、もう慣れてん』

「ゾム、お前のせいやぞ、お前が昼飯の度にそうやって強請るから…」

「いや最初から照れてはいなかったやろ」

「抵抗しなくなっただけやな」


昼飯も、毎回皆一緒に食べている。
俺は彼女を作るので、時々ではあるが。
今日こうして食べているのも、久しぶりである。
でも、この弁当だけは、味も質も変わらない。


「てか、大先生とAだけ毎回弁当やんな」

「大先生料理上手い感じせぇへんけどな」

「人並みにはできるで」

「それに、中身Aのと似とるよな」

『…気のせいちゃうの』


そして、毎回否定する。
何故かは知らないが、Aはわざわざ弁当を作って来てくれる。
美味いから、嫌とかではないが。
理由が分からないというか、皆にわざわざ黙っているのも、何故なのか。
最初に渡された時も校舎裏にわざわざ呼ばれたし、その後も、大体人目につかない所で渡されるか、鞄の中に入ってるかのどちらかで。
理由を聞いてみれば、栄養バランス偏ってそうだから、だそうだ。
間違いじゃないから言い返せずに、それからは習慣になってしまい、高校からはほぼ毎日この味を食べ続けている。


「でも、大先生が食べとるだけで、似てても食べたいとは思えへんわ」

「シャオちゃん」

「何で俺やねん!」


年々、美味くなってる気がして。
他の子の料理が物足りなく感じてしまうのが、少し困っているのだが。

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時

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