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そう言えば、バレンタインのチョコもそうだった。
皆の話からすれば、毎年板チョコ一枚貰うくらいで、手作りは遊びに行った時とか、作りすぎた時以外にもらったことがないという。
それに比べ、自分は毎回、丁寧にラッピングしてあり、明らかに手作りであった。
それも理由を聞いたが、皆と一緒だと意味ないから、と言われた。
最初は少し期待したが、Aに、ないとは思うがこんなクズを好きにならないように常に彼女はいる状態であったので、それはすぐないと切り捨てた。
最終的にたどり着いた答えは、
Aから貰ったとあいつらに知れれば、お前は貰っとるからいらんやろ、とか言われて面倒臭そうなので、他の女の子に紛れれるように。
という風に至った。
「今年もチョコ貰えるんかな」
「ああ、あの板チョコな」
「今年は頼んでみるか、手作りがええって
「俺一回頼んでんけど、バレンタインは忙しいから無理って断られた」
「不人気やからちゃうの」
「何やと変態クソチワワ！」
「大先生は貰っとるん？」
「貰ってへんやろ？こいつの貰ったチョコん中に板チョコあったの見たことないし」
「へっ、ざまぁ」
こういうことだ。
適当に頷けば満足そうにしているのだから、Aもこれを予想していたのだろう。
少し残念だと思うのは仕方ない。
これでもずっと好きだったのだから。
初恋なんやから。
まあ初恋は実らんいうし、初めから期待なんかしてへん。
「チョコと言えば、大先生、イタズラで1番美味そうなチョコ取った時、めちゃ怒っとったよな」
「"食べてへんやろな！？なあ！"ってな」
「甘いの好きじゃないシッマが美味そう言うて選ぶくらいやし、大先生食べたかったんやろ？な？」
「好きな子のチョコやったとか？」
「それはないやろ、だって高一の時やで？」
「ああ、1番凄かった時期な」
こいつらの野生の勘なのか分からないが、イタズラとは言え、Aのチョコだけ袋の中から取ってたのだ。
愛想振りまいてたら、義理も合わせたら案外多いくて、そんな中でもAのだけは潰れないように、大切に入れ取ったくらいやから、あの時だけは周りの目気にせずに怒鳴ったな。
今となればただの黒歴史やわ。
たかがチョコ１つで騒いでいた姿なんか、滑稽で仕方なかっただろう。
「大先生はAのこと好きやと思ったことないの？」
「…ないなぁ」
お得意の愛想笑い。
お前らにも気づかれへんのやから、褒めてや。
Aにはバレるけど。
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作者名：そういろね | 作成日時：2019年4月4日 4時
