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16 バレンタイン ページ16

土方の様子を横目で見てみれば近藤さんの貰ったチョコを眺めていた。



「ところでA、それもう1つはトシの分じゃないのか?」


「えっ!?」


「それとも、もしかして彼氏でもできたか?」



ニヤニヤしながら私にそう言った近藤さん。
そしてその前で土方は呆れ顔で煙草を吸い続けている。



「違いますよ!できてない!」


「ならトシの分か〜」


「違う!」


「えっ、トシのじゃないの?」


「あ、いや…その、…」



八方塞がりだ。勢いのあまり土方のじゃないなんて嘘をついてしまった。

もうここにいるのも気まずい、早く部屋から出ていきたい…



とにかく渡し方を考えるなんて余裕は無く、気付けば土方にチョコを差し出していた。


「ほ、欲しいならあげるけど…」


「あげるって、それ誰かに渡すんじゃねーのか」


「…じ、自分用に買っただけだから」


「なら食えよ。甘ェの好きだったろ」




いつもと変わらない調子で話す土方。




「良いよなあ、トシってば見回りに出ただけですげえ量のチョコ両手に抱えて帰ってきたんだから」


「良かねェよ。食いきれねーし…第1俺甘ェの苦手だし」






「(なんだ、私以外にもいっぱい貰ってるのか…)」






食べきれないほど貰ってるなら、私のを貰っても迷惑なだけだろう。





「なら、良いや…」





近藤さんの部屋を出て手に持ったチョコレートを眺めた。



「(自分で食べるしかないか…)」




自室に戻ってチョコレートを1粒口に入れた。





「…苦」





甘い物苦手だって知ってたから、苦めのチョコレート選んだんだった。

まだチョコレートは何粒も余っているが苦いのが苦手な私からしたらもう1粒も口に入れたくない。

チョコレートの蓋を閉じて
今朝手伝うと言って土方から取ってきた資料の続きを始めた。





*





「A、入るぞ」





夜ご飯を終え、また仕事に取り掛かろうと机に向かった時土方の声がした。





「頼んでた資料、片付いたか」


「まだ…あと10分くらいすれば終わると思うけど」


「そうか、分かった」





そんなやり取りをして、さっさと帰ってしまうかと思えば土方はそこから動かなかった。




「どうしたの?」


「…いや、それ苦ェって近藤さんが言ってたからよ」




土方の見つめる先には1口だけ食べたチョコレートの箱があった。





「食えんのか」




「…いいや、食べれなかった」

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設定タグ:真選組 , 土方十四郎 , 銀魂   
作品ジャンル:アニメ
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時

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