幼女が求婚されて困ってます！ (ページ11)

今日:10 hit、昨日:3 hit、合計:35,105 hit

9.夢のデートページ11

未だに信じられんな。

息子と手を繋ぎ、米花町を歩いているなどとは。

私よりも大きな手で、優しく繋いでくれる息子を盗み見る。

改めて見ると、学秀は大人になったのだな。

ふむ、我が子の成長が嬉しいぞ。

学秀「どうしたの母さん？」

私が見ていた事に気付いたのか、息子は聞いて来る。

『いや、何でもないわ。」

すぐに前を向いたが、やはり息子を見ていたくなって盗み見てしまう。
　

それにしても、これは夢なんじゃないかと思うくらい、私は今の現実が信じられずにいた。

学秀「公園があるね。」

『そうね。』

昼過ぎの公園に二人で仲良く入る。

夢ならまだ覚めないで欲しい。

私はまだ、学秀と一緒にいたい。

学秀「母さん、あれ食べる？」

学秀が指差したのは、屋台のクレープ屋さんだった。

『えっ、ああ…そうね。

私は苺チョコ生クリーム仕立てミックスアイス特盛りが良いかしら。』

学秀「分かった、買って来るよ。

母さんはベンチに座ってて。」

『ええ。』

学秀の後ろ姿を見ながら、私は近くのベンチに腰掛けた。

あんなに大きくなって。

頼もしい。

本当にあの人によく似て来たと思う。

きっと夫に似てるなんて言ったら、息子は不機嫌になるかもしれない。

息子はいつも夫を敵視していたから。

“あの人を蹴落とし支配してこそ、僕は真の強者になれる”

中学校の入学式を前日に控えた夜、息子は私にそう言っていたのを思い出す。

本当にあの二人は不器用なんだから。

夫もわざと自宅でも息子の事を苗字で呼んで、教師と生徒と言う関係を徹底し強者を育てる教育だと言って行っていた。

本当はもう少し、親子として接して欲しかったのに。

私の願いは完全無視。

まあ、全てあのタコのおかげで目が覚めたみたいだから、良かったけれど。