44話 ページ46
今日は始業式。
やっと野球部のみんなに会えるのにとても憂鬱な気分だ。なぜなら、渋谷玲夜と一緒に学校に行くように言われたからだ……。
こないだはなんとも思わなかったがあれはきっとイケメンという分類の男だろう。…まぁ、私は好きではないが。
そんな人と一緒に登校すれば女子の視線が痛いことは目に見えている。
……それに、御幸がいるから。顔向けができない…。
ため息をついていると、私の目の前で車が止まった。そして、窓が開けられて渋谷玲夜が顔を出した。
「おはよう!さぁ、乗って!」
よくそんなテンションでいられるなというくらいの笑顔でそう言う渋谷玲夜。この明るさは明るさでなんかうざいかもしれない。
まぁ、うざいなんて口が裂けてもこの人には言えないので素直に乗り込む。
屋敷のメイドたちに見送られ、出発した。
特にすることも無いし、この人とはなすこともないので窓から外を眺めていた。
…すると、渋谷玲夜の口から思わぬ言葉が出てきた。
「はぁ、ダルかったわー。」
「!?」
「あ、あんたには言っとくけどこれが本性だから。この前の見合いも全部猫かぶってるだけ。まぁ、人前では演技するから安心しろよ。」
あまりの衝撃に開いた口が塞がらなかった。性格が物凄い良い人物だとは思わなかったが、ここまで真っ黒だとは……。正直驚いた。
私の知っている御幸の腹黒さとはまたなにか違った感じがした。
「なんでわざわざ猫かぶってるんですか…?」
「あ?そんなん決ってんだろ、さっきのお前みたいに俺の本性知って驚く顔するやつ見るのが楽しいからだろ。」
「……」
こいつやばいやつだと一瞬で悟った。
そして、できるだけ学校では関わらないと心に誓った。
……が、それは儚く散った。
「お前俺の許嫁なんだから俺から無断で離れたり、他の男と話すなよ。お前に惚れちゃいねぇが、俺束縛激しいタイプなんだよね。」
……私には安息の地はないのだろうか。
これからの学校生活に頭が痛くなる…。
自分がこれからどうなるのかも、私には何も分からない。
……唯一わかること。それは御幸の顔を見れない。
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作者名:時雨 | 作成日時:2019年1月16日 20時