37話 ページ39
御幸side
時間も時間となり、帰ることに。先輩を家まで送り届けるため一緒にまだいる。先輩は1人で帰れると言っていたが、こんな無防備で危なっかしい人とを1人で帰す訳には行かなかった。
……ってまぁそれも半分は口実。もうちょっと一緒にいたかっただけ。
射的の景品のネックレスをプレゼントした時、先輩が嬉しそうな反応をしてくれたことがすっげぇ嬉しかった。あんな風に緩んだように先輩が笑うとは思っていなかった。
射的で景品を取れてよかったと思うこんなに思うなんてなかった。
横を歩く先輩を見て心底思う。
(……やっぱ好きだわ。)
俗に言うこれがベタ惚れと言うやつなのだろうか。自分がこんな恋愛するなんて、かつての俺は想像出来ただろうか。
「先輩最高。」
思わずポロッと出てしまった言葉。やべぇ、変な目で見られる。先輩の顔をチラッと見れば案の定「は?」というな顔をしてる。
「お前、1回病院行った方がいいんじゃないか、頭の。」
「うわ、酷いっすね。」
「急に『先輩最高。』とか訳の分からんこと言ったんだからしょうがないだろ。」
そう言って歩くスピードをあげる先輩。
「ねー、先輩。先にずんずん行っちゃうと俺が送ってる意味なくなるんだけど。」
「別に送らなくても大丈夫だって言っただろ?」
「だって先輩知らない人に着いてっちゃいそうですもん。」
「私は小学生か!」
そう言いつつも歩くペースを落とす先輩。文句を言いつつも結局は優しい。
「あー、先輩変な人に攫われないでくださいね?」
「……お前今日どういう脳の回路してんだ?」
「あ、防犯ブザー持っときます?」
「だから、私は小学生か!」
……けど本当に心配なのだ。先輩の身に何かおこることが。いつだって傍に居れるわけでも、居てくれる訳でもない。
「…先輩連絡先交換しましょーよ。」
ハッと思いつく。
良く考えれば何故今まで交換してなかったのか。連絡先さえ知ってれば何かあった時連絡してくれれば駆けつけることが出来る。
なんせ、今は便利なご時世なのだから。
先輩はポケットからスマホを出した。案外すんなり交換してくれることに驚いた。
先輩の名前が俺のスマホにあるのを見るとニヤけそうになる。
そして、先輩を無事送り届けた。今日新たな発見として先輩は一人暮らしだったと知った。
先輩が連絡してくれるのを楽しみに俺は寮へ戻った…。
……が、夏休みの間連絡が来ることも先輩が部活に顔を出すこともなかった。
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作者名:時雨 | 作成日時:2019年1月16日 20時