非恋愛対象【御幸一也】 (ページ32)

今日:16 hit、昨日:1 hit、合計:45,243 hit

30話ページ32

そして、3年最後の夏休みが始まった。

…とは言っても進路が決まった私にやることはあまりなく、結局野球部に早速顔を出しに行くことにした。

大変な時だけとか御幸に言ったが……。やっぱ野球部が恋しくなってしまった。

行ったら行ったでどうせ生意気な後輩共に「先輩暇っすね！！」とか言われるんだろうな。

てなワケで、学校へ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

久しぶりなマネ室の前。

中からは１、２年のマネージャー3人の声がする。今日来るなんて言ってなかったからどんな顔顔するか…と少しワクワクだ。

ノックもせず、勢いよく扉を開けた。

「おはよう、みんな」

「「「A先輩！！」」」

綺麗にハモる3人の声。そして、3人とも目をマン丸くさせている。…仲いいなぁ、なんて思ってしまった。

「なんでいるんですか！？」

「すごい勢いで言うね、幸。…まぁ、進路決まったからいつでも来れるよ。」

「要するに暇なんですね！！」

予想通りすぎて逆に腹が立つ。…でも、暇なのが事実だから言い返せない。

「…まぁ、いいでしょ！人手が多い分には！！監督にもちゃんと確認とったし！！」

「もちろん先輩には働いてもらいますよ！」

そう言って、3人に連れられ久しぶりのグラウンドへと向かった。

ゾロゾロと集まる野球部たち。私を見ると驚きと共に、挨拶をしてくる子も居れば、幸のように馬鹿にする輩もいる。…たとえば、倉持と沢村。

そして、1番最後に御幸がやってきた。

一応キャプテンなわけで、御幸の所へ顔を出す。

「おはようキャプテン」

「！？なんでいるんすか！」

「お手伝い？」

「あぁ、暇なんすね。」

相変わらず腹が立つ。この前は来いとか言ったくせに…！！

…この前はと言えば、御幸に進路が決まったこときちんと話してなかった。ここにいる時点で分かるだろうが、まぁ一応。

「…決まったよ進路。」

「そうですか、おめでとうございます。先輩が来年から大学生とか笑えますね。」

「素直におめでとうって言えないのかお前は。いちいち一言余計だな！！」

「てへっ」と笑う御幸を引っぱたいてマネージャーたちの元へ戻る。しばらくすると、監督たちがきて練習が始まった。

練習が始まって、キャプテンとしてチームを引っ張る御幸の姿は初めて見たが、苦戦して居るようだと思った。

(…大丈夫かあいつ。)