非恋愛対象【御幸一也】 (ページ22)

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20話ページ22

御幸side

風呂から出て自室へと向かうと、部屋の前で右往左往してる人がいた。

(…先輩？)

一目でだれたか分かってしまう俺はだいぶほれんでいるらしい…。今は近づきたくても近づけないが…。

…でも、あのまま部屋の前でウロウロされてると俺はしばらく部屋に入ることが出来ない。

近づかないとは言ったものの向こうから来た場合はセーフだろうか、と考えながら今度は俺が部屋にいると思いノックをしようとする先輩の後ろ姿に声を掛けた。

｢…なにしてんですか｣

｢うわぁ！！｣

急に声を掛けたことで驚く先輩。できるだけ関わらないようにしてきたため、こんなに反応は久しぶりに見た。ちょっと前はほぼ毎日これ見れたんだ、と思うと悲しなるが…。

少しでも先輩を意識しないように髪の毛を拭きながら話を続ける。

｢…どうしたんすかまだ帰んないで｣

これくらいは許してくれるだろうか、なんて思いながら質問をする。

｢こ、これ返しに来ただけだから！｣

先輩は目も合わせずに早口でそう言いながら、俺に袋を押し付けて走ってどっかに行った。

なんの袋すなのかを確認するために開けると、そこには綺麗に畳まれた俺のジャージと1枚のメモが入っていた。

｢…なんだこれ｣

半分に折りたたまれたメモを開けるとそこにはきれいな字で言葉が並べられていた。

『御幸へ
ジャージわざわざ貸してくれてありがとう。助かりました。

あと、気持ち悪いから普通に接しろ！！！』

予想外のメモに｢え…｣と声が漏れた。

悪口とか書かれていても仕方の無いことだと思っていたくらいだ。

…それに、最後の1文何度も書き直したような形跡がある。最初何が書かれていたのかはもう分からないが、それでも一生懸命言葉を選んでいる先輩を想像すると愛おしさが増す。

俺はメモを片手に先輩を追った。

どうせ先輩のことだから、まだマネ室にいるだろう。

お風呂上がりで汗かいたのをさっぱりしたのに、そんなことは無視して走る。

ーー少しでも早く先輩に会いたい。

｢はぁ、はぁ、はぁ｣

マネ室に着けばまだ電気は着いていて先輩がまだいることが確認できた。

扉の前まで行く。

…が、緊張して開けられない。さっき俺の前にいた先輩もこんなに感じだったのだろうか。

でも早く話したいから、こんなところで時間を掛けている暇もない。

そして、ゆっくりと扉を開けるーーーーー。